第15話 愛嬌のある後輩をじっと観察してみる③
「いや実はさ、昨日、日笠と色々な話したじゃん?」
「え、昨日? ……あっ、えぇっと、あ、え?」
俺がそう言うと日笠は少し顔を赤らめた。
「俺もエチな事に興味があるって言ったけどさ、でも俺そういうのを経験した事ないんだよね」
「ちょっ……えっ!?」
「だから昨日家でエチについて色々と調べてたら夜更かししちゃったんだよ、あはは」
俺は一日中ずっと秘蔵の動画や画像ファイルを探してた事を超々オブラートに包んで話す事にした。 まぁ案の定日笠はかなり顔を赤らめながら動揺もしていたけど、俺は気にせず話を続けてみる。
「でもさ、実際どうなんだろうなー?」
「え!? な、何がですか?」
「いやさ、調べてみたはいいんだけど結局エチって気持ち良いのかよくわからなかったんだよね」
「あ、えっと、そ、その、な、なるほど……?」
「そうそう、だからどうなんだろうなーって思ってさ。 エチって気持ち良いのかな?」
「え!? え、えっと、ど、どうなんでしょうね? ほ、ほら、男子と女子だと感覚が違うかもですし」
「あー確かに言われてみたら男子と女子じゃあ気持ち良さの感じ方とか違うのかもなぁ。 あ、そういえば日笠はそういうエチの経験ってあるの?」
「え゛っ!?」
あ、しまった。 いつもの男友達と話すような軽いノリでそんな事聞いちゃったけど、流石に女子相手にはそんな事聞くのはマズかったか?
それに日笠に彼氏がいるかどうかを聞きたかったんだけど、なんか普通にそれを上回る質問しちゃったな……うん、まぁ別にいっか。
俺は深く考える事を止めて日笠の対応を見てみる事に……って、日笠さんめっちゃ挙動不審になってるんだけど……?
「い、いやそのっ! えっと、そのっ……いや……そ、それは、」
(……あ、はい……)
日笠のこの反応で理解出来たからこれ以上は追及しないでおいとこう。 俺だってもし女子の先輩から「え? 君もしかして童貞??」って真顔で聞かれたらメンタルが壊れてしまい、これ以上の言葉は出せなくなる(童貞は至極繊細)
「……まぁ、別にいいや。 というわけで昨日は色々と調べてたから寝不足になったというわけです」
日笠の立場で考えるとこの状況は流石に可哀そうすぎるので、俺は何も気が付かなかったかのようにとぼける事にしといた。
「な、なるほどー。 え、でも先輩って、そ、その……彼女さんとかは今はいないんですか?」
「え? 彼女? いやいや、今まで誰とも付き合った事ないんだけど……」
「え、そ、そうなんですか!?」
俺がしょんぼりとした口調でそう言うと、日笠はビックリしたような顔でこちらを見てきた。
「な、なんでそんなに驚いてるの?」
「え? い、いやその……何というかちょっと意外だなーって思っちゃいまして」
「ん? どういうこと?」
「えっと、そ、そういうエッチな事を話すのもそうなんですけど……先輩だったら、何というかそのー、す、すぐに彼女さんとか出来るんじゃないですかね?」
「え? そうなの?」
「え、えぇ、そうですよ!」
やっぱりこっちの世界の俺はそれなりにモテるらしい。 鹿島さんが言ってたけど、俺の体はドチャクソエロいらしいからな。 ちゃんと部活で体鍛えといて良かったわ。
(……うーん、いや、でもさ)
でもさ、いくら体がエロいといっても、顔つきはBランクだぞ?(当社比です) 平均的な顔つきだぞ?(あくまでも当社比です) そんな奴が本当にモテるのか?
これは他にもモテる要因があるんじゃないかと思って、俺は日笠に滅茶苦茶イタい質問をぶつけてみる事にした。
「ごめん、変な事聞くけどさ、俺のどこら辺にモテそうな要素あるの?」
……いや滅茶苦茶イタい質問をしてるのはわかってるよ? でもこれを聞かないと俺は次の段階に進めないんだ。 都合の良い男になるためにも、この世界でモテる秘訣を探らなければならないんだ。
「え!? えっと、そ、そうですね……男女関係無く私達後輩に優しく接してくれる所とかですかね?」
「は? そんなことで?」
「い、いやいや! 私達女子からすると男子の先輩に声かけるのって何だかちょっと怖いんですよ! でも倉橋先輩だけは私達が声をかけるよりも先に笑顔で話しかけてくれるから、な、何ていうかその……凄い優しいんです!」
俺がそんなことで? と聞き返したら、日笠はそう熱弁してきた。
確かに俺は部活の後輩たちの面倒は積極的に見るようにしてたし、廊下とかですれ違ったらこちらからしょっちゅう話しかけたりもしていた。 でもそんな事がモテる要因になるか?
(……いやでも、確かにそうかも)
日笠がそう熱弁してきたので俺はいつも通り発想を逆転してみた。
もしここが元の世界だったとしたら……あぁうん確かに、俺だって女子の先輩に声をかけるのはメッチャ緊張するわ。 後輩相手ならそこまで緊張はしないけど、女子の先輩に声かけるのってハードル高いよな。
それなのに、むしろ女子の先輩の方から俺に何度も喋りかけに来てくれたらさ……そんなのめっちゃ嬉しいに決まってる。
ってか、たったそれだけの関係性だったとしても、俺ならそれだけで十分に惚れるかもしれないわ (童貞は至極単純)
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