第13話 愛嬌のある後輩をじっと観察してみる①
「ふぁあ……」
昼休みが終わって数学の授業中。 俺は欠伸をしながら授業を聞いていた。 俺は文系は得意だけど理系はかなりの苦手科目なので、ちゃんと授業を聞いとかないとマズいんだけど、さっきから欠伸が止まらない……
「えー、この問題は公式を利用する事で……」
(ねむいなぁ……)
昼休みにラブホの検索してた時は全然眠くなかったのに、授業が始まったらすぐに眠気がMaxになってしまっていた。 正直、今にでも寝てしまいそうな程だった。
まぁでもしょうがないよな、だって昼休み終わりの授業が一番眠くなる時間帯だしな。
……いやそもそも俺は今日ほぼ徹夜だったわけだしさ。 お宝の動画とか画像ファイルがなぁ……はぁ……
(でももうすぐ中間テストだし、寝るわけにもいかないよな……)
そう、時期的にはもうすぐ中間テスト期間が始まるから、怠けてばかりはいられない。 俺の学力は平均くらいだから、ここで寝てしまうと俺は地獄を見てしまう可能性もあるわけで。
ちなみに赤点などの悪い成績を取ると両親の代わりに姫子からお説教が飛んできてしまい、さらに部活やバイトを禁止させられるというオマケ付きだ。 問答無用で長時間正座をさせながら説教してくるからなアイツ。
姫子による長時間のお説教はもちろん嫌だけど……それよりも“えちえちな動画や漫画”が全て消えてしまった今、新しいえちえちなお宝を買いなおすためにも俺には軍資金がいるんだ。 それも早急に。
だから今この瞬間にバイト禁止なんてさせられてしまったら俺の死が確定してしまう訳で……
(それだけは絶対に阻止せねば……)
ちなみにそんな姫子は常に学年トップを取る程の優秀な奴だ。 いつも勉強を見てあげるって言ってくるけど俺は毎回拒否してる。 だって俺の隣でドヤ顔しながら勉強を教えてくる姫子なんて見たくないからな。 そんなドヤ顔見せられるくらいなら一人で頑張るわ。
という事で俺は怒られない程度の点数を取るために、最低限の授業だけはちゃんと聞くようにしてるんだけど……流石に徹夜明けかつ昼飯を食べた後の授業は無理だ。 ちっとも集中出来ねぇわ……あぁヤバイ、寝落ちしそう……
(……ん?)
何やら校庭のグラウンドの方が少し賑やかだったので、俺は眠気覚ましに窓からグラウンドの景色を眺めてみた。
すると外では1年生の体育の授業が行われていた。 ちょうど今は長距離走のタイムを測定している所のようだった。 俺はそのまま1年生達がグラウンドを走っている所をぼーっと眺めていると、見知った姿の女子が走っている所だった。
(お、日笠じゃん。 ってかアイツ足めっちゃ早いよな)
それは部活の後輩でもある日笠だった。 彼女の脚力は他の女子達よりも群を抜いて早かった。 流石に部活で毎日体を鍛えてるだけある。
(はぇ……良き足だな)
そして俺は日笠のスラっとした足が体操服からチラっと見えてちょっとエチだなって思った。 そんなエチな姿のおかげで俺の目が少しだけ覚めた。 うん、やっぱり性欲に正直って良い事だよな、これからも性欲に忠実に生きていこう。
(うーん、健康的な太ももだな!)
という事で俺の眠気は減ってきたので、そのまま本能に従って日笠の姿を見続ける事にした。 どう考えても完全にセクハラなんだけど、この逆転世界なら許されるだろ。
でも日笠の事を改めて観察してみてるんだけど、アイツってスタイルかなり良いし明るくて愛嬌もあるから、男子人気はかなり高そうだよな。 あれ、そういえば日笠って彼氏とかいないんだっけ?
元の世界では日笠とそういう話はあまりしてこなかったから、ちょっとだけ気になる。 今度会った時にそういう話でもしてみようかな。
俺はそんな事を思いながらも日笠の事をぼーっと眺め続けていたら、長距離走を走り終えた日笠と目が合った。 日笠は俺に気が付くと、嬉しそうにしながら手をぶんぶんと振ってきた。 俺も授業中の先生にバレないように小さく手を振っといた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます