第3話 クラスメイトの鹿島さん③
「う、うん? おーい、鹿島さん?」
「……え!? あ、えぇっと……え!?」
固まってしまった鹿島さんに何度か声をかけると、ようやく反応してくれた。
「あ、よかった。いきなり固まったからビックリしたよ」
「い、いや!? そ、そ、それはアナタが……って、えっ? あ、あれ? え、えぇと……え!?」
正気を取りもどした鹿島さんだったけど、どうやらまだ混乱しているようだ。まぁでも別にいっか、そのうち元に戻るでしょ。
「……あ、わ、わかったわ! さっき私がおっぱいを揉ませてって言った事を怒ってるんでしょ? ご、ご、ごめんって、本当にあれ冗談だから気にしないでよ!」
「え? 別に怒ってないし冗談でもないけど? あ、何なら今から揉む?」
「は、はぁ? って……えっ!? き、きゃああああああ!?」
俺はそう言ってワイシャツのボタンを外してみると、鹿島さんは慌てて大きな声を出した。俺はそんな鹿島さんの慌てる姿を見て、内心かなり笑っていた。
(や、やばいな……反応がまるっきり俺とか志摩にそっくりじゃん!)
鹿島さんが俺達みたいな童貞臭い慌て方をしてるのがちょっと面白くてツボに入ってしまった。そして気が付いたら俺はこんな状況を楽しみだしていた。
「うん? どうしたの鹿島さん?」
「ちょっ! 倉橋君こそ何してるのよ! そ、そんなことして! み、見えちゃうじゃなの!!」
「え? でも見せないと鹿島さんが触れなくない?」
「え!? あ……う……」
そう言って俺はワイシャツのボタンを全部外して、体がチラ見してる状態にしてあげた。
それなのに肝心の鹿島さんは顔を真っ赤にしながら何もしてこようとしない。それにちっとも触ろうとしてこないんだけど。
「どうしたの? 触らないの?」
「え……あ、い、や……えっと」
どうやら鹿島さんはショート寸前のようだ。いやまぁ鹿島さんの気持ちはわかるけどね、俺も同じ状況になったら100%日和ってヘタレるだろうしさ。
だって幾らエロイ事が大好きだと言っても俺達は童貞なんだよ? 突然のエロイベントに対応なんて出来るわけないじゃん。というか対応なんて出来てたら童貞なんてやってないからな。
でもそんなエロ大好き思春期高校生の同士でもある鹿島さんがヘタレている姿を見続けるのは……うーん、やはり同士として放っておくわけにはいかないよな。
「……はぁ、しょうがないな、ほら」
「ちょ、え!? あ……!」
だから俺は恥ずかしがっている鹿島さんの腕を掴んで、そのまま胸の近くまで手を持っていった。
いや、まぁでもここまでしてあげても鹿島さんは何もしなさそうだけど。だってこの世界の鹿島さんって俺と同じでエロいけど凄いヘタレっぽいから……
―― モミモミモミモミモミモミモミ!
と思っていたのに鹿島さんは一瞬で胸を掴んで揉みしだいてきた。
「っておい、何が冗談だよ! めっちゃ触ってるじゃん!!」
「う、うるさいな!! 誘ってきたのそっちじゃん! こ、これが……本物の……ふ、ふへ……」
「え? 本物って?」
「え!? な、何も言ってないけど!?」
鹿島さんは首をぶんぶんと横に振りながらも、胸を揉む動作を止めるつもりは一切なかった。まぁ鹿島さんが凄い楽しそうにしてるから別にいいんだけどさ。
「でもさ、俺の胸を揉んでて楽しいか? 俺ってそんな脂肪無いし、筋肉ついてるからゴツゴツじゃない?」
「なっ! こんなドチャクソエロイ体つきしといて何言ってんの!?」
「ど、どちゃくそ?」
「えぇ、そうよ! 筋肉があって細い身体つき……こんなの何処をどう見てもエロイじゃない! はぁ……はぁ……!」
「お、おう……」
な、なるほど、どうやらこっちの概念だと、筋肉というのは結構大事らしいな。あっちの概念で言う所の俺は巨乳タイプっていう事になるのかな? まぁよくわからんけど、現実の世界でちゃんと真面目にサッカー部やってきてて良かったな。
そんな事を思いながら鹿島さんに揉みしだかれていると、授業開始前の予鈴がなりだした。
「はい、もう終わり。さっさと準備して教室に戻ろ」
「え……? あ、うん、わかった……うん……」
俺がそう言うと鹿島さんは目に見えてしょぼんとしだした。
う、うーん、なんだろう……なんていうかさ、“めっちゃいいエロ画像を見つけたのに、少し目を離したら既に消されてしまっていた時にするような顔”を鹿島さんはしていた。
え? 何でそんな具体的な例が出るのかって? えへへ。
(なんかもう鹿島さんが今思ってるであろう気持ちが全部手に取るようにわかっちゃうんだよなぁ……)
やっぱり思春期エロ大好きっ子っていう人種はさ、貞操概念が逆転しても中身は一切変わらないって事なんだろうな。
(はぁ、全く、しょうがないなぁ……)
これは夢の世界の話かもしれないけど、俺だって鹿島さんと同じ思春期拗らせたエロ童貞の一人だ。
だから目の前でしょぼんとした顔をしている同士を放っておく事は出来ないよな。
例えこれが夢の世界の話だとしても……ちゃんと最後まで鹿島さんを喜ばせてあげようじゃないか!
「でも鹿島さんって凄いんだね」
「……え? な、何の話?」
俺は準備室から備品を取り出しながらしょぼんとしてる鹿島さんに話しかけた。
「いや鹿島さんが胸を触るの本当に上手くてビックリしちゃったよ。凄い気持ち良かったからさ」
「え!? 本当!? そ、そう、ふ、ふへ、そ、そっか……ふへへ!」
「あぁ、うん、本当だよ。だからさ……鹿島さんはエッチも凄い上手いんだろうなぁ」
「そ、そんなのもちろん当たり前じゃない! い、今までエッチしてきた男子はちゃんと全員イカせてきたんだから! みんなもに凄い気持ち良かったって言わせてきたんだから!!」
しょぼんとしていた鹿島さんはみるみるうちに元気になってそう喋り出した。でもいきなり早口で喋り出す辺り童て……いや何でもない。
「へぇ、そっか、それは本当に凄いな。あはは、それじゃあ楽しみにしてるわ」
「うん、そうなんだから! ……って、え? 楽しみって……何が?」
「え、何言ってるの? 鹿島さんが俺の童貞貰ってくれるんでしょ?」
「え……え゛っ!? そ、それ本当に言ってたの!?」
「え? 鹿島さんは嫌なの?」
俺がそう言うと、また鹿島さんは赤くなって固まってしまった。
「も、もしかしてだけど……く、倉橋君って凄い真面目なフリをしてただけで……実はもの凄いビッチな人なの?」
「あはは、そんな事ないでしょ。もしビッチだったら童貞なわけないじゃん」
「い、いやでも……そ、それじゃあ……え? な、何で私なの?」
「何でって? うーん、そうだなぁ……やっぱり初めてエッチするんだったら鹿島さんみたいな可愛い子がいいからなぁ」
「か、可愛い!? わ、私が!?」
鹿島さんは今日一番のビックリした顔を見せてきた。
「うん? なんだか初めて言われたって顔してるけど?」
「あ、当たり前じゃん! そんな事言われたの初めてよ! か、可愛い!? 私が?? え?? ほ、本当に!?」
「え? 本当に初めて言われたの?」
それは意外だなって思ったけど、でもそっか。ここでの鹿島さんは思春期エロ大好きっ子だった。
雄二も言ってたけど鹿島さんって男子からはエロすぎて敬遠されてるんだっけな。
「か、可愛い? わ、私が? く、倉橋君に? ふ、ふへ……ふへへ……」
「……うん、まぁいいや。それじゃあ鹿島さんにいつか誘って貰えるの楽しみにしてるよ。それじゃあ教室戻ろうか」
「ふ、ふへへ……って、ちょ……え!? ま、待って! ちょっと待ってってば!」
そう言って俺達は準備室から出て教室に戻って行った。しょぼんとした鹿島さんはもういない。
代わりに滅茶苦茶挙動不審な鹿島さんを作り上げてしまったけど……まぁいいや。
だってこれって俺の夢の話でしょ? 明日にはこの夢から覚めてきっと普通の生活に戻ってるし別にいいや。
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