第6話 体育館裏
(学校のチャイム キーンコーンカーンコーン 放課後)
「監督。今日の練習は副部長の加奈子に全部任せたので、ちょっと私に付き合ってください。いいからいいから。こっちこっち♪」
(雑木林をかき分けて進む音 ガサガサ)
「着きましたよ。監督。ここは、インターハイ予選で1試合目に対戦する敵チームの体育館裏です。この辺りは木が生い茂っているから、周りから隠れられて安心です。
これから何をするかって?そりゃあ偵察ですよ。インターハイ予選といえども、決してあなどってはいけません。少しでも勝利へ近づくため、相手の戦力や戦術をあらかじめ知り対策を練って、あらゆる手段をこうじるのです。だからこうやって、この学校の制服風にコスプレしてきたんじゃありませんか。あれ?気づいてなかったんですか?このミニミニチェックのスカートに白シャツ赤リボン。変装ばっちりです。ニカッ。
監督はいつものジャージ姿に笛をぶら下げているから、もし怪しまれたら私が先生とか何とか言って対処しますから、安心してください」
小声「こっちこっちです。ここの上の方に窓がありますよね、あそこから中を覗くんですよ。窓の位置がちょっと高いから、監督、ここでお馬さんになってください。私が上に乗りますから。
え?いやだ?
ダメですよ!このために監督を連れてきたんですから。ここはインターハイのためだと思って、お願いします。この通り」
(手を合わせる千夏 パチッ)
「そうです。ちゃんと膝を立ててお尻を突き出して。じっとしててくださいよ。くれぐれも上を見たらいけませんよ。私のスカートの中が見えてしまいますからね。
靴を脱いで、監督の背中の上にチョイト失礼しますよ。よっと!
あ”ー。あとチョット高さが足りないです。もうちょっとで見えたのに。一旦降りますね。手柄もなくここで帰るわけには、、、」
(体育館の中から キュッキュッ ダムダム)
「練習が始まってしまいましたね。急がねば日が暮れるな、、、」
「むむむむっ。むむむむむむっ。」
「こうなったら肩車でいきましょう。うん。そうしよう。短いスカートじゃなくてズボンで来ればよかったけど仕方ない。さっ!早く
そうです、屈んだ監督の肩に、私が後ろから足をかけてと、監督の頭を太ももではさんで、、、
ひやぁ!
監督のお耳とホッペが冷たくってつい、変な声を出してしまいました。私の内ももがヒンヤリしましたものですから。すみません。
監督、私のヒザをしっかり持ってくださいよ。そして、はい!立って!
ゆっくりー。ゆっくりー。そうです、そうです。いいですよ。監督。その調子です。あっ、でも、も少し右です。あー行き過ぎ。行き過ぎ。戻ってください。あーまた行き過ぎた。ちょっと!監督!あんまりムズムズしないでください。そんなに動いて頭振ってたら私、、、もぉ、、、
んっふんっ。つっふんっ。ひゃっふんっ。
監督の髪の毛がユサユサして、、、
くすぐったいっていうか。やだっ。
監督の後頭部が硬くって、、、んもうぅ、
もーダメですって!んっふんっ。
あっ!体が木に引っ掛かった!おろ?バランスが。あわわっわー。おわわっわー。
(二人で転ぶ音 ドテッ)
あいったー。転んでしまいましたぁ~。
大丈夫ですか?監督?あれ?どこ行ったんですか?あっごめんなさい。私のお尻の下に監督の顔がありました。今どきますからね。
あれ?足が。た、立てないです。あ、足をくじいてしまったようです。
こんなことするんじゃなかった。ここは一時撤退しましょう。おんぶしてください。おんぶ。早くしないと、誰か来ちゃいますよ。あっ。その前に、このままおんぶされたら、私のおパンツが丸見えになってしまいますので、監督の上ジャージを借りて、腰に巻かせてください。
仕方ありません。ここは敵地戦場です。困ったときはお互い様ですよ。そうです。私にジャージを貸して、私をおぶる。困ったときはお互い様。さー脱出しましょう。ちょっ!監督!そんなに手を広げて私のお尻を触らないでください。
ん?でもお尻触らないとおんぶできない?確かにそうですね。
いや!できます。私が監督を後ろから強く抱きしめれば落ちません。私の腕と、足を監督の体の前まで回して、こうやってしっかりとホールドすれば。
ギュギュギュ。
ほい!これで大丈夫。監督は密着されて圧迫されてちょっと苦しいかもしれませんが頑張ってください!ここは戦場ですから。
偵察部隊、任務失敗により、帰還しまーす!無念!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます