第5話 呪われた森 ―2
「よろしくお願いしますわ、リオン様」
「リオン、よろしくぅです!」
「お兄様、私の分もしっかりと運んで下さい」
「いや、無理でしょ」
馬車の中には座る場所以外は荷物だらけだ。元々多かった荷物に、塩や砂糖等の調味料、日保ちする食べ物に、野菜の種なんかも積んである。
「リオン様、男子たるもの女性のお荷物を持つのは紳士の嗜みでしてよ」
「リオン、男は黙って無茶、無理、無謀だよぉです!」
「お兄様、義妹の私に恥をかかせないでよね」
うグッ、全く持つ気なしの女の子達。
…………あっ、そうだ!
僕はリュック中をまさぐり、来る時の街で買った一冊の本を取り出した。
「じゃんじゃジャーン! 『スキル名鑑』!」
「お兄様、そういうキモいリアクションは止めてよね」
「グッ、いいさ、お前の兄がただのデブでは所を見せてやろう」
僕は『スキル名鑑』を開き、ポーター系のスキルを調べる。フムフム、物を軽くするギフト、物を小さくするギフト、……おっ! これだ! 『ポーターの憧れギフト 異空間収納』。
僕はシルフィを見てニヤリと笑う。
僕のギフト『スキルメイク』はスキルを作る事が出来る珍しいギフトだ。ただし何かしらの代償として、自らの物を贄として差し出さなければならない。
「うわっ、キモッ!」
「フフフ、見ているがよい、我が義妹よ」
僕は女の子の太ももぐらいに太い両腕を真っ直ぐに付き出した。
「我リオンが命じる。我が血と肉を贄に捧げよう。我が求むるスキルは『異空間収納』なり。今ここにその技を顕現させよ!ギフト『スキルメイク』発動!」
し―――――――――ん
「「「………………」」」
『スキルメイク』は発動した。僕のお腹の出っ張りが少し小さくなった。とはいえピカーって光るようなエフェクトは一切無かった。
「……ヨシ、成功です!」
「……お兄様、今の頭のおかしくい詠唱は必要だったのですか?」
「カッコいいでしょ」
「キモいですわ!」
「うざいぃです!」
「今後は詠唱禁止ね!」
せっかく考えたのに……。
「異空間収納オープン」
僕の正面に小さな黒い穴が現れた。
「これが異空間収納です。生き物以外なら入れられて、この中では時間経過は無いみたいです」
「す、凄いですわ」
「マジかぁです」
「……もっとお買い物するんだった」
フフフ、みんなが僕のスキルに驚いている。さあ、僕を褒め称えてくれ! さあ、さあ、さあ――ッ!
「買い物に戻りますわ」
「もっと武器が買い込めるぅです!」
「お菓子にフルーツ、ケーキよ! ケーキ!」
あれ? 誰も褒め称えてくれないの? いいさ、いいさ、僕は僕を僕の為に褒め称えよう! うん、凄いぞリオン! 涙なんか吹き飛ばせぇぇぇ!
――――――――――――――――――――
6/24 お詫びと引っ越しのご連絡
新連載した【キモデブ】ですが、新規で【異世界】カテゴリーに引っ越しします。
改稿していたら【ラブコメ】のカテゴリーエラーになってしまいました。【ラブコメ】読者様で、【異世界】でもいいよ、と言う方は宜しくお願いします。
タイトルも以下に変わります。
【ヨシ、国を買おう! ―魂が異世界転移したらキモデブだった!?魔法の使い過ぎで激ヤセしたら三人の美少女婚約者が急に優しくなったよ!神様からのクエストで辺境の森に行ったので秘密国家を作ってみました。】
↓リンク 範囲指定 長押し 開く で飛びます
https://kakuyomu.jp/works/16817139555907663915
基本コンセプトは変わりませんが、異世界転移要素と、ザマァ要素が加わりました。
宜しくお願いします。
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