第4話 呪われた森 ―1

「皆さん、お覚悟は宜しいですか。ここから一歩でも踏み出せば後戻りは出来ません」


 王都を出立して三日目。道中では女の子三人は打ち解けていたけど、僕との距離は一ミリも変わる事はなく、今この地にいる。


 僕達の馬車は道の無い草原に停車し、草原に降りて、立て看板を全員で確認していた。


『これより先 危険地帯

 これより先 アザトーイ国にあらず

 これより先 クルッテール棲息地帯

 これより先 進む者は国外追放罪とする

 これより先 進む者は逃げてこの地を踏むべからず』


「もとより覚悟の上ぇです」

「義父と母には別れを告げてきました」


 クスノハ様は笑いながら、シルフィは緊張した面持ちで、ルミアーナ様に答えた。


「あそこに見える森に、狂猿クルッテールが棲息しています。クルッテールはその鳴き声で、近くにいる魔物を呼び寄せます」


 クルッテールは見た目は可愛い猿で、尻尾がリスの様にクルッと丸まっていて、その昔はその愛嬌の良さから、その冗談みたいな名前がついた。しかし今は狂った猿と改めてクルッテールと呼ばれている。


「過去に呪われた森には開拓村がありました。開拓村は土地の開拓と、当時は高値で取り引きされていたクルッテールの尾や毛皮を売って生計をたてていました」


 昔々はその尻尾を使ったマフラー等の流行があったとかで、ハンターが乱獲していた時代があったらしい。


「しかしある日を境に、突然クルッテールが奇妙な鳴き声をし始めると、魔物達がよってきて人を襲うようになったのです。開拓村の人々の多くは魔物に殺され、僅かな人々が村から王国に逃げてきました。クルッテールの群れに呼ばれた数千の魔物の大群と共に」


 歴史で習った『狂猿の惨劇』だ。


「これにより、王国の北領は半壊、十万人を超える死者が出ました。それ故に呪われた森に立ち入る事は禁忌とされ、国はその危険な地を放棄、そして立ち入る者は国外追放罪とする厳しい罪に問われる事となったのです」


 ルミアーナ様の言葉を聞きながら僕らは森を見つめていた。


「フフフ、ここを超えればわたくしはただのルミアーナです。アザトーイの姓も消え、王女などでは無くなります。皆さんも宜しいですか?」


「「「はい」」」


 国外追放になったからと言って姓を捨てる必要は無い。これは旅の途中で決めた僕たちの決意だ。


 そして馬車に乗り込み、アザトーイ国の国境を越えた。  



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6/24 お詫びと引っ越しのご連絡

 新連載した【キモデブ】ですが、新規で【異世界】カテゴリーに引っ越しします。


 改稿していたら【ラブコメ】のカテゴリーエラーになってしまいました。【ラブコメ】読者様で、【異世界】でもいいよ、と言う方は宜しくお願いします。


タイトルも以下に変わります。


【ヨシ、国を買おう! ―魂が異世界転移したらキモデブだった!?魔法の使い過ぎで激ヤセしたら三人の美少女婚約者が急に優しくなったよ!神様からのクエストで辺境の森に行ったので秘密国家を作ってみました。】


↓リンク 範囲指定 長押し 開く で飛びます


https://kakuyomu.jp/works/16817139555907663915


 基本コンセプトは変わりませんが、異世界転移要素と、ザマァ要素が加わりました。


 宜しくお願いします。


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