第2話 婚活神が決めたお相手は? ―2
僕は放課後に校舎裏に呼び出されていた。
「来やがりましたかぁ、キモデブぅです」
校舎裏で待っていた女子生徒は、身長は僕の半分くらいしかない小さな女の子で、ツインテールが愛らしさを更に演出している。学校でもトップスリーに入る美少女で、名前はクスノハ・ムッソウ様。ムッソウ子爵のご令嬢だ。
「はぁ、はぁ、こ、この度はご愁傷様です」
「てめぇが言うなぁです!」
「す、すみません」
「はぁ〜、あたしの婚約者がよりにもよってキモデブのリオンかよぉです」
「す、すみません」
「まぁ、無害ちゃあ無害だけどさぁ、そのデブを何とかしろよぉです」
「す、すみません」
「んでさぁ、クエストは受けんだよなぁです」
「はい。クスノハ様はいかがしますか?」
「貰ったギフトは気に入ってんだぁです。だからクエストはきっちりやるよぉです」
クエストとは神の啓示で、選ばれたカップルに与えられる試練だ。その試練を乗り越えられない場合、授かったギフトは消えてしまう。
またクエストレベルは与えられたギフトの質に比例する。そして僕たちに与えられたクエストは超難題だった。
「んで、リオンのギフトは何なんだぁです」
「クスノハ様は何のギフトなんですか?」
「あたしは剣王のギフトだよぉです! フフフ、剣神、剣聖に次ぐギフトだよぉです! フフフ、剣王だよぉ、剣王だよぉです!」
剣王は半端なく凄いギフトだ。この国の騎士団長でさえ剣豪までしか持っていない。つまり、クスノハ様は将来の騎士団長と言ってもいい。
「んで、リオンは何なんだぁです」
「僕のギフトは『スキルメイク』です」
「……何つったぁです?」
「『スキルメイク』っていうギフトみたいです」
「なにそれぇです?」
「えっとそれはですね――――」
◆
クスノハ様と別れた後に、僕は図書室に行った。
「はぁ、はぁ、はぁ、す、すみません。遅くなりました」
夕暮れのオレンジの光が差し込む静かな図書室。そこには美少女が一人だけしかいなかった。長い金色の髪の毛が夕日に輝き、彼女の美しさをより一層際立たせている。
「わたくしよりも大事なご用があったのですね。フフフ」
フフフと影を落としながら微笑むルミアーナ・アザトーイ様。アザトーイ王国第三王女にして学校で一番の美少女だ。
「す、すみません」
「それで、クラスでも下等と評判高いキモデブのリオン様。わたくしたちには、あの狂った森にある呪われた山ヤヴァイ山の麓を開拓する啓示が降りましたが、もちろん行かれますよね」
「は、はい! しかし王女殿下も行かれるとなれば、そ、その……」
「婚約者の件ですわね」
「は、はい。今なら婚約破棄は可能ですので」
「そうですわね。婚約破棄は可能です。ペナルティはギフトがいただけないのと、今後一切の加護をサセタ神様から受けられない事ですわね。しかし、わたくしが賜ったギフトは御膳上等である聖神のギフト。教皇だろうと、聖女だろうと、わたくしの前では平伏するのですよ。手放すはずが無いではないですか。オーホッホ!」
「せ、聖神のギフトですか!? 凄いですね!」
神を冠するギフトは最上級ギフトであり、お伽話に出てくる奇跡と呼ばれる力を持っているみたいだ。
「いいですかリオン。この事はしばらくは二人だけの秘密です。何故かは分りますか?」
「悪目立ちするからですか?」
「王女にして絶世の美女! 天より二物を与えられたこのわたくしが、天より三物を与えられたぐらいで、今さら悪目立ちでもありませんわね」
「はぁ? ではどうしてですか?」
「天の時、地の利、人の和。今わたくしたちには何一つありませんわ。天下を頂くには今は動く時ではありませんわ。昼行灯となりて、その時を待つのですわ。オーホッホ」
うん。何を言っているのでしょうかね、このお方は?
――――――――――――――――――――
6/24 お詫びと引っ越しのご連絡
新連載した【キモデブ】ですが、新規で【異世界】カテゴリーに引っ越しします。
改稿していたら【ラブコメ】のカテゴリーエラーになってしまいました。【ラブコメ】読者様で、【異世界】でもいいよ、と言う方は宜しくお願いします。
タイトルも以下に変わります。
【ヨシ、国を買おう! ―魂が異世界転移したらキモデブだった!?魔法の使い過ぎで激ヤセしたら三人の美少女婚約者が急に優しくなったよ!神様からのクエストで辺境の森に行ったので秘密国家を作ってみました。】
↓リンク 範囲指定 長押し 開く で飛びます
https://kakuyomu.jp/works/16817139555907663915
基本コンセプトは変わりませんが、異世界転移要素と、ザマァ要素が加わりました。
宜しくお願いします。
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