第7話初めて芽生えた気持ち
来栖に申し訳ないことをしたと自覚して、悶々としたモノが胸中に留まり、停滞している。
休み時間の度に椅子から腰を浮かすまではいくのだが、彼女の元に行き謝る勇気がなかなか出ずにいた。
四限目の授業が始まり、間も無くしてグラウンドの方から準備体操をする女子らの声が聞こえてきた。
グラウンド側の窓の方に視線を向けると、一年の女子生徒らがテニスコートで準備体操をしていた。
ウルフカットの女子を瞳が捉え、来栖だと分かった。
すらっとした長い身長に太すぎず細過ぎない脚で肌も日焼けし過ぎていない程良い色合いの彼女。
彼女の適度に鍛えられた身体は、私のだらしのないぷにぷにしたぜい肉のついた身体なんかよりよっぽど魅力的だ。
そんな彼女の姿を見間違うわけがなかった。
授業が中盤に差し掛かったところで打球音と歓声が増し出した。一面のコートでダブルスを行なっている周囲に半数以上が集まっていた。
接戦らしい対決だ。来栖のペアは茶髪のポニーテールで彼女より身長は僅かに低いように見える。
カナ、ミーと二人は呼び合っていた。点を獲る度に笑顔でハイタッチをしていた。
その光景には、モヤモヤと感じたことのないナニカが胸をじわじわと侵蝕していく。
ハジ、めて感じたこの感覚……感情らしき、何か……それは——
ハジめて芽生えた気持ち、感情は……来栖に対して抱いたモノなのか、それとも来栖の隣で笑うあの女子に対して抱いたモノなのか?それは——
知ってしまえば、自覚してしまえば、私は……
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