第5話 中学校生活は天国か

 新学期。4月。進学。


 入学式の前日に髪を切ってさっぱり好少年(?)になった俺は、生き生きした表情で登校。つつがなく式を終えるという面白くない(小説に出てくる運命の出会いとかのない)中学校生活のスタートを切った。


 学校生活一日目、担任と生徒たちの自己紹介。


 担任は、42歳。眼鏡に無精ひげのもさっとした男性だった。


 まあ、やっていけそうだと思ったので、第一関門突破。


 係決めや掃除当番決めなどを進めていく日々で、この担任はマリオネットみたいだ、と思った。周りの教員にしたがって、面倒ごとは起こさないように、「普通」

を貫く。そんな人だった。


 そして、担任から酷使されていた小学校時代からの生活の違いはと言うと、


 特に変わらなかった。


 そう。変わらなかった。何なら、もっとタチの悪いものになった。


 「普通」を貫く担任的には、面倒なことはしたくない、ならどうするか?

 

 生徒にやらせた。


 「緋羽君はいつも先生を助けてくれる気の利く子」という表向きには

全く問題のない言い訳で、仕事を押し付けてきた。


 何度か、教頭先生や比較的声の掛けやすかった20代の保健室の先生やなんかに

相談してみたこともあった。


 しかし、難しいことに証拠がない。それに、担任の嫌がらせは実に巧妙で、先生

どころかクラスメイト達にも気が付かれないようだったので、証言もない。


「証拠も証言もなければ先生たちは動けません」


これは、相談した先生全員に言われた言葉だ。証拠なんかスマホも持ってきちゃいけないこの状況でどうやって出すんだよと思いながら「そうですよね、ごめんなさい」と頷いた。

 

 なんと俺は小学校生活の中でこういう先生たちが変わらないことを学習していたので(俺って超すげぇ)、絶望に浸りながらクラス替えを待った。 









 

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破滅の館 @candoll

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