5日目

授業と授業の合間。

教科書やノートを準備していると、隣席の三橋さんが声をかけてきた。

「なぞなぞ、出題してもいい?」

「……唐突ですね」

 即座に受け入れなかったのは、彼女の口の端が吊り上がっていたから。何か企んでいる人間の表情だ。

 数秒だけ考えて、返答。

「構いませんよ」

 三橋さんは嬉しそうに切り出す。

「愛が無いと出来ない行為で~、通常はベッドの上でするけど、車内ですることもあって~、出血することもあって~、終わった後に強い満足感を覚えるものってな~んだ?」

「献血」

即答に、三橋さんが面食らう。私は真顔で尋ねた。

「どうですか?」

「……せ、正解」

 悔しげに呟く三橋さん。

「じゃ、じゃあ二問目ね! 英訳すると、胸はバスト。お尻はヒップ。アソコは?」

「there」

 これまた即答。三橋さんは眉根を寄せた。

「よ、夜中に一人でこっそりと見るもので、他の人には絶対に見せれない『アレ』とはなんでしょう?」

「夢」

「さ、最後に『ックス』が付く気持ちいいこととは?」

「デトックス」

「お、主に女性が使うものですが、男性が使うこともあります。スイッチを入れると『ういーん』という音と同時に棒状のモノが激しくピストンします。この電動〇〇とはなんでしょう?」

「電動ミシン」

淀みない出題と回答の応酬。思惑が外れたからか、三橋さんは唇を尖らせた。

「……それだけ詳しいと、逆にめちゃくちゃ変態っぽいよ?」

「……」

そんなことはない。はず。

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500日後に恋人になる百合を、1日目と1000日目から見る 森林梢 @w167074e

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