ここは名古屋でした

「おはようございます」




 今日からはダンジョン講習ということで、会社に集合して、講習会場に車での移動となっている。




「おはよう、昨日は眠れた?」




 すでに車内でスマホを触っていた田中さんが声をかけてくる。




「無理ですね、不安と興奮で4時間しか寝れなかったですよ」




「そうなるよね。俺もおんなじくらいしか寝れなかった」




 と目をこすりながら笑いかけてくる。




「ちゃんと寝ないとだめよ、お肌にも健康にも悪いんだから」




 三段目シートにて藤沢さんと一緒にファッション雑誌を見ていた渡辺さんがダメだししてくる。




「気持ちはわかるので、あまり言っても仕方ないですよ」




「あら?フジちゃんはきちんと眠れてるじゃない?」




「仕事で鍛えられたコツがこんな時に発揮されただけですよ」




 本日の不安を話していると、運転席に佐藤さんが助手席に社長がそして最後に東さんが乗り込んできた。




「おはようございます。昨日の説明通り、本日からの3日間ダンジョン講習は『1-1L型名駅前ダンジョン』になります」




 車を発進させながら今日の予定を話していく。




「安藤さんは家が近いとのことなので、明日からは直接現地で集合にしましょう」




「ありがとうございます」




「着いたら受付を行い、貸出用の防具へと着替えてください。ワッペンに関しては東さんが全員分持ってきてますので、着替える前に受け取ってください」




 東さんがバックの中からワッペンの入った袋を見せてきた。




 『名駅前ダンジョンビル』の車両入口にて、佐藤さんがライセンスを警備員に提示し確認を行った。


「それでは受け付けは2階となってますので、付いてきてください」


 問題なく確認ができると、指定された階の番号に車両を止め、全員を引率していく。




 エレベーターで降りた先は無人で券売機みたいな機械が並んでおり、その1つに向かうとライセンスQRコードを読み取らせた。




「G室に向かいましょう。そこに装備も搬入されているとのことです」




 案内されたのは、6畳ほどの部屋で片隅に6つのケースがおかれていた。




「3階は女性専用フロアーとなっています。藤沢さんはそちらの更衣室でお着換えください」




 そう教えられて、藤沢さんが部屋を出ていくと我先にと、自分のサイズに合う装備を着込んでいく。




「あれ?社長どうして装備着用してるのですか?」




「田中君は何を言ってるんだい?こんなおも。。げふんげふん。初めての試みに社長の私が参加しなくてどうするんだ」




 わざとらしくいいかえながら、最もらしく聞こえるような言い訳をして自分の参加を正当化した社長にあきれながら




「でも社長良いんですか?いくら50手前でまだ体力的に大丈夫と言ってもその贅沢なお腹が邪魔になるんじゃないんですか?」




「安藤君も失礼だな。このお腹は幸せな証拠だよ。それにこれからいやでも痩せることになるんだ。そしたら嫁さんが、もっとおいしい料理作ってくれるんだよ」




 藤沢さんが着替え終わり帰ってくるまで社長のお嫁さん自慢は止まることがなかった。


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