筋肉の美しい人はかっこいい

 教育も2日目に突入して、午前中は佐藤さんの講義を社長も部屋の片隅で、なぜか聞いている状態で進んでいく。




 そして現在、1日目と同じように会社が用意した近くのお弁当屋さんの日替わり弁当(500円)を食べ終え、藤ちゃんが腕立て伏せを、渡辺さんと東さんが足を椅子に掛けた状態での腕立て伏せをしながら筋肉に誉め言葉をかけていた。


 そんな暑苦しい部屋の片隅にいる2人はスマホで別々のゲームをして、休憩時間を過ごしていた。




 思い思いに過ごしていると、休憩時間の終わりの時間ちょうどに佐藤さんと社長が入室してくる。




「この時間から業務別教育ということでダンジョンに関しての話を行っていきます。」




 部屋が暗くなり画像が移される。




「業務別からの予定表です。今日の午後、今からになるのですが、10時間にわたり新設された法律や、ダンジョンの知識等についての座学のみを行います。他の警備だと、5時間の現場教育が可能となってますが、あくまで、現場教育が出来るとなっているだけで、座学だけでも構わないのですが、5号に関しては、命の危険性が高いこと、ダンジョン講習での20時間の現場での講習を受けることを考慮し、座学のみとなっています。」




 昨日や午前中までに使われていた大学の授業で使われるような堅苦しいものから打って変わって、色とりどりで、佐藤さんをデフォルメにしたキャラクターが指揮棒を使い、説明している部分の場所を指示していく。




「その代わり、ダンジョン講習は現場研修のみとなります。試験内容は都度変わりますが、1人での指定モンスター討伐、複数人での協力しての討伐、ダンジョン内での救援、Q型ダンジョンのクリアーなどその人にあった内容になります。」




 デフォルメされたキャラクターがあまりにも目の前の佐藤さんの特徴をうまく捉えていたため、笑いが込み上げてきてしまったので、話を遮るように質問を行った。






「すみません。このままだと話に集中できないので、質問よろしいですか?」




 昨日と同じく、手で続きを促された。




「その佐藤さんをデフォルメにしたキャラクターはどうされたのですか?あまりに気になって話が入ってこないのですが」




 周りからは、うなずく気配を感じながら質問を行うと、少し困ったように、




「うむ、昨日の教育が堅苦しく壁を感じた気がして、家に帰り業務別の資料を作り直していたら10歳の『娘がこれを使うと良いよ』と渡してくれたのだが、おかしかったら今から消しますよ」




「とんでもない、娘さんの言う通りキャラクターがあるだけで、堅苦しさが和らぐのでぜひ続けてください」




 佐藤さんと娘さんのエピソードにほっこりしながら講義の続きが行われていった。

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