閑話 2030年度記録140 難易度3-3クエスト その3
庁舎を出て周りを見渡すような動きを見せる。
正面には出現場所と思われるビル群がある。
左手には丘になっていて先は見えない。
右手には3階層までの建物が多く立ち並ぶのが確認できる。
後ろの方は庁舎が大きいため確認できないが、左手側と同じように丘となっているのが庁舎に向かう途中で確認できている。
Aは右側にBは正面に向かっていくのを確認して、リーダーは、右手に向かって歩き始めた。
歩くこと20分、庁舎前の広場を抜け町中に入るとそこには、無数の露店が並ぶ通りに出た。
店舗自体は様々で、生鮮食品から武器などの加工品まで様々な物があふれている。
その中で、一番特徴的なのが人と違う特徴を持った人種が多く買い物を行っているところである。
通りを埋め尽くす露店や買い物をする人々をかき分けて進んだ先の商会ギルドと書かれた建物に入っていく。
『すみません。工芸品の商談を行いたいのですが』
入り口のすぐそばにあるカウンターテーブルで仕事を行っている女性に声をかける。
『面会の予約はしてますか?』
『今日ついたばかりで、飛び込みになりますがダメでしたか?』
すると女性は用紙を取り出し『飛び込みの工芸品の商談です。対応可能ですか?』と声を吹き込むと、ダーツのような形に折りたたまれて、建物の奥へと飛んで行った。
すると20秒ほどで戻ってきて、テーブルに落ちると折り目もなく広がった紙には先ほど女性が吹き込んだ言葉の下に『今すぐ向かいます。空いているブースに案内を』と書かれていた。
『担当者が参りますので1番ブースにてお待ちください』
案内されたブースに入ると、壁を通り抜けてティーセットが現れ、2名分の紅茶を用意し始めた。
リーダーは特に驚くでもなく、ミルクを加えてかき混ぜたところで、ブースに女性が入ってきた。
『ようこそいらっしゃいました。商会ギルドのロベリアと申します。お飲み物は紅茶でよろしかったですか?』
『お気遣いありがとうございます。私は、ダンジョンウォーカーの二階堂と申します』
リーダーが手を差し出すと、手が袖から離れ握り返してくる。
これにはさすがに驚いたのか、リーダーの小さく漏れた悲鳴をマイクが拾う。
『あははは、ごめんなさい。私はホムンクルスなので体の各所を分離できるのです。あいさつでは恒例となってますで、あなたのような反応は久しぶりで』
こちらの反応を心底面白いような感じで女性が笑いながら説明してくる。
『いいえ、御不快に思われないようでしたらよかったです。話を聞いてはいましたが、実際に見るとでは全然違いますね』
相手の反応に疲れたような声を出したリーダーは、バックの中から巾着に10コを1つにまとめたガラス球を10セット取り出しテーブルに置いた。
『早速ですが、このガラス球を購入していただけるとありがたいのですが』
女性は着席すると、袋から取り出し覗き込みながら鑑定していく。
『透き通るようなガラス玉ですね。この透明度はラビリア国のものではないようですね。もっと南から流れてきた物の中に交じっていたことがありましたが』
言葉を紡ぎながらこちらの反応を見ている女性に対して、肩をすくめたのか画面がぶれる。
『詮索はしない方がよさそうですね。それではこの10セットを金貨1枚でお譲りいただけませんか?』
『構いませんよ、その代わり銀貨でいただきたいのですが』
『銀貨ですと聖銀貨と王銀貨がありますがどちらがよろしいですか?』
『王銀貨はこの国で使えるのでしょうか?』
『使えないこともないですが金貨1枚に対し、聖銀貨の場合865枚、王銀貨の場合2057枚が現在の相場となっています』
『そうなると、聖銀貨1枚の商品を買うとすると王銀貨2枚と銅貨3枚くらいですか』
『お店ですと、交換の手数料も取られるので王銀貨2枚と半銀貨1枚になるでしょうね。王国に向かわれたらまた変わりますがどうされます?』
『聖銀貨でお願いします。今のところこの国以外に移動する予定もありませんので』
そう話を締めくくると、一度退場した女性は銀貨の入ったと思われる袋をトレイに持って現れた。
その後、軽く雑談を交え、商業ギルドを後にしたリーダーはそびえたつビル群に向かって歩みを進めた。
出現場所で、AとBと合流した後Bの案内の元、ビル群の中にある宿にチェックインした3名は今日の活動を締めくくり、一度録画を止めることとなった。
『現在18時、本日の活動はこれまでの為、録画を停止する。』
その言葉の後、暗転し次の日に移り変わり録画が開始された。
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