閑話 2030年度記録140 難易度3-3クエスト その2

扉をくぐるとその先にはレンガで作られた10階以上の階層がある建物が並ぶ薄暗い裏路地といえるような場所に出た。


建物にはひらがなとカタカナも見える文字で色とりどりの落書がされ、窓もガラスがはめられていたが数か所を残し、すべて破壊されている。




そんな光景にも目を向けずリーダーが話始める。




『クエスト支給リタイア用信号弾チェック』




『『クエスト支給リタイア用信号弾よし』』




いつから持っていたのか手に発煙筒に似た信号弾を確認し、ズボンの専用に作成したと思われるポケットに入れる。




『それでは治水ギルドに向かう続け』




リーダーが声をかけると迷わずに足を進める。


50mほど進むと、車道が6車線作れるくらいの大通りと思われる人通りが多い通りに出た。


右を向くと10km先に大きな門が、左を向くと100階層あると思われる高層ビルがそびえたっていた。




『事前に調査映像を見てわかってましたけど、重機もない時代で100階層の高層ビルを作ってるのはこれを見ても信じられないですね』




映し出されたAは初めて都会に来たおのぼりさんみたいになっている。




『1900年代のニューヨークで作られているからな地震がないのであれば、現代みたいな技術が無くても作られるのだろう』




Bも驚いた様子で見上げる。




『現代でもそうだが、これだけ大きな建造物が作れるってこと自体が力の象徴となっているのかもしれないな』




リーダーからも驚きの声が出される。




『治水ギルドはあの建物の中とのことだから向かうぞ』




驚きながらもすぐに切り替えて先を急ぐ。




すぐ近くに見えたが500m進んだところで、高層ビルの周りを囲んでいる広場についただけだった。


広場に入りそこからさらに1km進んだところでやっと入り口が見えてくる。


入り口は、15段分の階段を上がった先にあり、ガラス張りの現代と変わらないたたずまいをしている。


入り口の兵士に会釈をして中に入り、案内を行っていると思われる女性に話しかける。




『ちょっといいかい?治水ギルドにて依頼を受けたダンジョンウォーカーだが打ち合わせのために担当者をお願いしたいのだが』




『わかりました。担当者をお呼びしますので4番ブースにてお待ちください』




案内されたブースに向かって足を進めると、女性は用紙に向かって『ダンジョンウォーカーの3名がお見えです。4番ブースに案内してます。』と声をかけると用紙が折りたたまれツバメのような形に代わり、壁にある銅管の中に入っていった。




20分ほどブースでくつろいでいると、50代と思われる男性が入ってきた。




『今回依頼を受けていただきありがとうございます。えーと、名前はダンジョンウォーカーさんでよろしかったですか?』




『ダンジョンウォーカーは組織名ですがそう呼んでもらっても構いませんよ』




『ありがとうございます。それでは説明をいたしますので、おかけください』




椅子から立ち上がり握手を交わした後、着席を促され説明を受ける。




『今回地下水道にて大ネズミが観測されました。現在他の方々にも依頼を受けていただき、駆除を行っていますが繁殖力が強いのと、全長1mを超える個体が確認されているため、駆除が進まない状況となっております。このままですと大ネズミの凶暴化により地上に出てきて市民を襲う、又は死骸により伝染病の危険性が出てきました。この地下水道は、一般で飲料水としても使われているため毒物の使用はできません。それと、感染病の予防のため死骸に関しては持ち帰ってください。ここにマジックバックがあります。口は60cmまで広がり、重さ1tまでであれば重量を緩和できるこれを貸し出します。死骸はこれに入れて持って帰ってきてもらえれば、持って帰ってきた量に対して報酬を上乗せいたします。ここまでで不明な点はありますか?』




『いいえ、情報とマジックバックありがとうございます。明日から取り掛かりますが大丈夫ですか?』




『ええ、お願いします。地下水道への入り口はこの庁舎広場の南西の8ブロックに入り口がありますので、この札を兵士へお見せください。』




『ありがとうございます。それでは終わりましたらご報告に伺います。』




『よろしくお願いします。それと他の方々とのは極力避けてください。』




『わかりました。失礼します』




事務的に説明をしたあと、軽く挨拶かわし庁舎を出て、当初の打ち合わせ通り各々の役目を遂行するため庁舎前で別れた。

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