第14話 私が失ったもの、得たもの

週6で働き、夜のバイトもしていた私。

今考えれば、完全に躁モードに入っている。


そんな生活を数ヶ月。

しかし、上がった分、下がる。

そのうちに、悪魔がやってきた。


また、鬱状態になって自傷行為が始まってしまった。

かかりつけの心療内科では抗うつ剤が増量になった。

しかし、私の病気には抗うつ剤はあまり奏功しない、というか合わない。

状態が良くなるわけもなく、自分を傷付け続けた。



そのうちに、私はまた自らの行為に屈してしまった。

貧血で、2度目の入院を余儀なくされてしまった。

瀉血で、なんて言えないので、その時は過多月経ということにした。


また輸血、鉄剤の点滴の日々。

心臓にも多大なる負担がかかっていたことだろう。

20代じゃなかったら、生きているかも怪しい。

本当にやらかしてくれるよ、私って人間は。


退院して、仕事も休職ではなく退職した。

仕事も失ったし、当時結婚を前提に付き合っていた彼も去っていった。

私は、躁モードになると彼に暴力を振るうこともあった。

逆に、鬱になると何もできず、頼りきりになってしまっていた。

そんな波に、彼は白旗を振って、去っていった。


入院や療養で、お金もなくなった。


私は、このちょっとの間に、お金も、人も失ったのだ。

たくさんの大切なものが、ガラガラと崩れて、なくなってしまった。


当時の私は、まさにどん底だった。

毎日がつらくて、朝が来なければいい、明日が来なければいいと思っていた。


薬も効かない。

「うつ病」の薬なのだから、効くわけがない。

毎日家の中で泣いていた。

5キロ痩せた。浮き出たあばら骨が、哀愁を誘っていた。


しばらくの間、仕事はもちろんのこと、外出も難しくなっていた。通院ですら、鉛のように重い身体を引きずって行っていた。

通院に行けたら、万々歳。


親にも頼れない、彼も去っていった。

誰にも頼れない環境の中で、私は独りぼっちで、ずっと闇の中を彷徨っていた。

完全にガチ鬱に転じていたと思う。


自殺しなかったのが不幸中の幸い、と今では思う。


そんな状態が、数ヶ月。

頑張れ、私。

頑張るな、私。


数ヶ月のガチ鬱を経て、ようやっと回復の兆しが見え始めた。

そして、ある出会いが、これからの私を変えることになる。




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