第10話 若気の至り、精神科からの逃避

処方された眠剤のおかげで、眠りは劇的に改善した。

些細な物音でも起きなくなった。


小さい頃は、母に殺されるんじゃないかとか、捨てられるんじゃないかと怯えながら寝ていた。

そんな不安を取り除いてくれる睡眠薬は、私にとってはかなり奏功したと思う。


バルプロ酸ナトリウムとエビリファイについては、これについては、さて効いているのかどうか、、


当時は何の知識もなかったので、効果もロクにないものを飲み続けるのは、、と思いながら半信半疑だった。


そして、カウンセリングも始まった。

生い立ちのところから、虐待を受けていた当時のことも話をする。情景が浮かんで、正直つらい。

ぶわっと記憶がフラッシュバックするというよりは、その時々の母の怒鳴り声や、私がうつむいて口唇をキュッと噛んでいる姿が浮かんだ。


あとは、何か長い棒で口元を殴られて口唇がタラコみたいになったこととか。笑


カウンセリングは、正直きつかったし、カウンセラーとの相性的なものもぱっとしなかった。

何より、カウンセリングは保険適応外なのだ。

お高い。

こんなのを月に2回も受けていたら、貴重なバイト代が通院とカウンセリング代で消えてしまう。


数ヶ月くらいは真面目に通院していたが、経済的な事情もあって、次第に遠のいていった。

だって、通院に数千円〜数万円かけるなら、服やコスメに使いたい。当時の私は、ハナの女子大生。そして何より、大切な生活費だ。


自立支援医療制度も勧められた。

これは、医療費の負担割合を軽減してくれるものだ。3割負担が、1割負担になるし、収入に応じて、1ヶ月の医療費の負担上限額が決まる。

しかし、私は当時未成年。

どうしたって親が介入することになる。


精神科に通院していることで、これ以上「キチガイ」扱いされたくない。


そう思って、それも頓挫した。


何より、その時には既に元気になって、それなりに大学生活もバイトもできていた。

今思えば、鬱モードを脱しただけだったのかもしれないが、、


そんなこともあり、精神科とはほぼ疎遠になった。

通院の自己中断、というやつか。


しかし、これが大きなターニングポイントになってしまう。

せっかくスタートラインに立ったのに、私はそこから逃げてしまった。


この時に、きちんとした通院や服薬をしていれば、、と、後々になって痛感するのである。


どういうことか?

まぁ、それは追々綴っていくこととしよう。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る