第7話『魔物狩り連合タナンヤ支部』

タナンヤの街に明るい朝日が昇り、住人達が次々と目を覚ます。ゆりも、ルザスと下に降りてヤミルに挨拶をする。


『おはよう.....ござ、います。』


『おはようございます〜ヤミルさん。いつも早いですね〜。』


ルザスが少し元気に挨拶をする一方、ゆりはウトウトと目が開いたり閉じたりしながら挨拶をしていた。


『あら、おはようさんあんた達。夜はよく眠れたかい?ゆりちゃんはやけに眠そうだけど?』


朝ご飯の支度をしながらゆりとルザスに挨拶をするヤミル。眠そうなゆりを見て、少し気にしている。


『確かにそうですね...。ゆりさん大丈夫ですか?体調でも悪いですか?』


ゆりに、体調を聞くルザス。肩をポンっと叩いて、気遣ってくれている。ゆりは、フラフラと眠りそうな目で話す。


『じ、実は....私の体は、夜...夜行性で.....。朝は全...然、血液が循環...してないん.....ですけど...夜になると、血液の循環が....活発になっていて、動かない...と、落ち着か....ないんです...。多分...アビリティの、影響だと....思います....。』


強烈な眠気に襲われながら、ルザスとヤミルに説明するゆり。今にも熟睡しそうな勢いでウトウトとしていた。


『そうだったのかい...。一応、ゆりちゃんにはタナンヤにある魔物狩り連合って所へ行って連合登録して欲しいから、この...眠気もたちまち吹き飛ぶ栄養ドリンクを飲んでもらうよ。大体9時間位は起きてられるから夜までには持つと思うよ。ほれ...。』


ヤミルは、そう言いながらゆりに栄養ドリンクを渡す。ゆりは眠くなりながら受け取る。


『...っっっ。.......ありがとう...ございます。』


栄養ドリンクを飲んで何とか眠気を覚ましたゆり。ヤミルとルザスはホッと一安心する。


『よし、じゃあ今日は予定通り魔物狩り連合のある所まで行くよ!早く朝飯食って準備しな!今日は忙しいよ!。』


『はい。じゃあゆりさん、食べますか。』


『.....うん...。』


そうして、朝食を食べ、タナンヤにある魔物狩り連合のある場所まで歩いていく。


『ほら、着いたよ。ここが、魔物狩り連合タナンヤ支部だよ。早速中に入って連合登録をして貰うからね。さ、いくよ!。』


『あ、ちょっと〜!ヤミルさん早いですよ~!。』


早歩きで、魔物狩り連合の中へ入っていく。


『おはようございます。魔物狩り連合タナンヤ支部へようこそ。本日はどのような件でしょうか。』


連合の受付に、1人の男性がいた。顔に髭があり、整った顔付きをしていた。ヤミルはその男性に声を掛ける。


『やぁヨザーヌ。久しぶりだね。老けたんじゃないかい?だけど、鈍ってはいないようだね。』


『もしかして、ヤミルか⁈久しぶりだな!お前がここに来るなんて何年振りだ?。』


彼の名は『ヨザーヌ・ローバロ』。元、魔物狩り連合の副騎士団長を務めた経験を持つ。その強さも健在のようだ。


『おっと、紹介するよ。このイケメン面したかっこいい男は私の同期でもあり、私の幼馴染のヨザーヌ・ローバロだよ。アビリティや、武器防具で分からないことがあればこいつに聞くといいさね。今はもう引退してるけど、ヨザーヌは元、魔物狩り連合の副騎士団長を務めていたベテランだよ。戦闘とかのコツは教えて貰えば勉強にもなるしね。』


ゆりとルザスの前で、ヨザーヌの事を詳しく教えてくれるヤミル。ペラペラと沢山話してる姿を見て、ヨザーヌはクスッと笑う。


『ふふっ。相変わらずだなヤミルは。お前は昔からそういう相手の凄い所を見つける所は変わらないんだから。』


『ヨザーヌこそ、人に優しすぎる所とか困ってる人に手を差し伸べる姿は昔と変わらないじゃないか。』


互いに見ながらゆっくり話す2人。ヨザーヌは、違う話に持ち掛ける。


『さて、話はこのくらいにして...。今日は何しにきたんだい?』


背筋や身なりを再度整えて、受付として仕事をするヨザーヌ。ゆりの代わりに、ルザスが説明する。


『実は、ゆりさんは初めてこの街に来たので、連合登録をして貰おうと思いまして。』


『やってくれるだろ?ヨザーヌ。』


受付の机に手を乗せて、ヨザーヌを見ながら言うヤミル。ヨザーヌは、ハァッとため息をしながら紙を出す。


『分かった分かった。ったく、しょうがない。

そこの嬢ちゃんとルザスに頼まれちゃ、断れないしな!ほら、この紙に血を一滴垂らしてくれ。そうすれば連合登録は完了するぞ。』


『分かった....やって、みます。』


ゆりは、そう言うとヨザーヌが出した紙に自身の血を一滴垂らした。すると、紙がゆりの血を吸い取って赤黒い色をした用紙になった。


『?!用紙が赤黒く...。この子は一体...素性を調べる必要がありそうだが...。』


『.......?』


ボソボソと独り言を言っているヨザーヌ。しかし、ハッと今の状況に気付いた後に赤黒くなった用紙に印鑑を押した。


『すいません、少々驚いてしまいましてね。はい。これで登録完了致しました。これで貴方も立派な魔物狩りです。』


そう言うと、ゆりに一枚のカードを渡すヨザーヌ。そのカードは、赤黒く光っていた。ゆりはそれを受け取る。


『これが...私のカード.....。ありがとうございます.....。』


『困った事があれば、気軽に話しかけていいからね。これからよろしくね、ゆりちゃん。』


『...よろしく、お願いします。ヨザーヌさん。』


ヨザーヌとゆりはお互いに軽く握手をする。こうしてゆりに、知り合いがまた1人増えた。

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