4
王国の滅亡する様を、
地は乾き、衰え
世界は枯れ、衰える。
地上の最も高貴な民も弱り果てる。
地はそこに住む者ゆえに汚された。
彼らが律法を犯し、掟を破り
永遠の契約を捨てたからだ。
それゆえ、呪いが地を食い尽くし
そこに住む者は罪を負わねばならなかった。
それゆえ、地に住む者は焼き尽くされ
わずかの者だけが残された。
「ね、それっぽいでしょ」とクララが笑う。使っていいのかな、とマリナが懸念を口にし、いいんじゃない、とアポロニアが頬杖をついて言った。
あの時は、結局どうしたのだったか。メモを見ると、保留、と書かれている。それ以降、物語が更新された様子はない。
あの頃、私たちは無邪気だった。信ずるべきを信じ、語ることを躊躇わなかった。
世界を知れば知るほど、言葉にできることは減っていく。共に分かち合えたはずの思いは煩悶の波に削られて、残ったわずかばかりの滓を、大切に抱えることしかできなくなる。
始めてしまったお話は、どこかで終わらせなければならないのだと悟った。半端だろうと、心残りがあろうとも、終わりの時を宣言する責任が、私たちにはあるのだと思う。
言葉が描く肖像だけではない。人が辿った時代もまた、同じように終わりを迎えていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます