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創意工夫 

第1話 春風

「15期生‼︎整列‼︎」


「「はいっ!!!」」


部屋中に声が響き渡る。


俺は今日、この孤児院を出ることになる。

立派に成人したのだ。

この国では12歳では成人してしまうらしい。


多くの人間が前世の記憶を持つからだ。


しかし、俺は前世の記憶を持たない、みんなが持っている遺物を俺は持っていない。

俺は新魂児(※)らしい。


普通の人間は前世というものがあり、その人生での1番の形見を遺物として手に入れることができる。



この世界で俺は1番の不幸者だ。



、、、、、、、、。





「アキっ!!!俺たちついに成人だよっ!!」


「そうだね。もうこれからは働いたりなんだりしなきゃいけない、、、」


「そんな悲しいこと言うなよ…」


彼は俺の唯一の親友、アルル アリベール。

僕とは違い、きちんと前世のある立派な成人だ。


「結局、アルルはどんな遺物だったの?」


「そうだったね、本当は口外禁止なんだけど、、、クスリ。」


「クスリって何だよ。なんか特別な効果とかあるのか?」


「ないみたいだよ。本当になんもないクスリ。」


「そうか、俺はアルルと違って新魂児だったんだ、、」


「そっか、、、、、だからあんな扱いされてたんだね。守ってあげられなくてごめん、、、」


「まあ、気にしないでよ。だってこれから、、、、、」



その瞬間肩にとてつもない重みを感じた。



「アルルンとアキくん!!!」


彼女は今年で15歳。

孤児院での先輩だった人だ。


「アヤノちゃんが参上!!」


「あははっ、アヤノ先輩は相変わらず元気ですね。」


「それはねそれはね!私、今日!この国出るから!!」


「「え??」」


「アヤノ??待って?今日はご飯奢ってくれるんじゃないの?」


「いやああ、ご飯はもちろん行くよ?手紙で言った通りにね!で!なんだけど、今日の給料でやっと1000万貯まったので、念願の世界一周旅行をしようかと!!」


「一千万!?え?アヤノ先輩!!冗談言わないでくださいよ!?この3年間でそんなに貯まったって、、、一般の夫婦が一生遊んで暮らせる額ですよ!?」


「実はね!!3年間働き詰めてやっと貯まったの1日も休んでないんだから!!」


「だからアヤノ先輩は、、、。」


「待てアルル、俺にも喋らせてくれ。」


「わかった、、、。」


「アヤノ、通帳を見せてくれ。それが手っ取り早いだろ?」


食い気味に「よし。」と言ったアヤノはポケットから通帳を出し、俺たちに見せてくれた。


「「、、、、、、、マジか、、、、、、。」」


「どんなもんだ!!」


「「じゃあミョウ馬車通りの高級レストランに行こう!!」」


「ああ、行こう!高級レストランへ!!ついてくるがいい2人とも!」



春風が気持ちいい日だった。

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