死者に復讐する方法

 死んだ人にどうやったら、復讐できるのか考えてみた。


 一生懸命に子育てしてきた母親に私は復讐したかったのかもしれない。

一生懸命子育てしてくれたのは事実だが、終わりぎわになると、一生懸命依存された。

 母親に言われてゾッとした言葉がある。私が四〇になるまで世話をしていたいと。

その時、病気の母親の献身さに目を潤ませたかもしれない。

 でも、それをされたら、体力的には衰えが強まっていくところまで親に管理されるのか。

と、思い至ってしまい、それはそれは、死んでくれて助かったと思った。

 私は自由なのに、心の中に私を支配する親がいる。

親は一生懸命私のために何か言う。それを聞くたびに動けなくなる自分を思い出した。

 死者に復讐できないだろうかと思ったのはそんな時だ。


 親は人様に迷惑をかけずに、ちゃんと節度を持って、幸せに生きろと願ってた。


 ……馬鹿らしい、誰もが誰かに迷惑かけるし、限度を超えたことをしてしまう。

そんな賢くない生き物なのだ人間は。

賢かったら、みんながとっくに生きやすい世界にしてるはずだ。


 だから私は幸せになるが、とびきり、ダメな人間にもなる。

ダメでも良いって言ってくれる人に愛されるんだ。


 復讐は良くない。何も取り返せないし、心を傷つけていくこと。

というのは一つの本当だと思う。


 でも、それを割り切れない馬鹿であるのも、また人間なんだ。

やっと私は人間になれた気がした。

誰かのお人形なってやってられるか、ボケ!!!!

 って思うことくらい許してほしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あんたは特別だから虐待しないが、そのかわり妹はできが良くないから虐待します 雪月華月 @hujiiroame

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ