ショートショート『キミシニタマフコトナカレ』

両親に手紙を書こう。


書き出しはどうしようか?


拝啓、お父さん、お母さん?うーん・・・。


手紙なんか書いたことないから困ったな。これじゃ出撃の時間きちゃうよ。


先輩はどんな風に書いてるんだろう?


はは、凄いなぁ。先輩、それ何枚目ですか?


ちょっと、隠さなくてもいいじゃないですか。見せてくださいよ!


いて!!何も叩くことはないでしょ?


・・・もー、なんで泣いてるんですか。すいませんでした先輩、ほら泣かないで。あーあー、せっかく書いた手紙も濡れてぐしゃぐしゃになっちゃいますよ。


何も今日絶対死ぬ、てわけじゃないでしょ?大丈夫ですって、先輩はどの訓練でも1番だったしきっと帰って来れますよ。


俺だって絶対生きて帰って来ますよ。


帰ってきたら一緒にご飯食べましょ?先輩の作るカレーまた食べさせてくださいよ。あの味は先輩にしかだせないんですよ。今度作り方教えてください。


・・・だから死んじゃだめですよ?ね?


ほら約束、指切りげんまん嘘ついたら・・・先輩が枕の下に隠してる推しとのツーショットチェキ、同じ部隊の皆に見せますから!!


あのデレデレの顔、皆きっと笑うだろうなぁ。


嫌でしょ?じゃあ、絶対生きて帰って来ましょ!!一緒に!!部隊の皆全員で!!


ほら、出撃要請出ましたよ!約束、忘れないでくださいね!!


あ、そうだ、俺の手紙手紙・・・。


うーん・・・よし。


お待たせしました、じゃあ先輩行きましょう!




「・・・本日、市街地で我らがドラゴンライダーとにっくき敵のボス暗闇伯爵の戦闘がありました。結果はいつものようにドラゴンライダーの完全勝利!暗闇伯爵は逃亡しましたが敵の戦闘員はひとり残らずドラゴンライダーのドラゴンバスターにより駆除されました。良かったですね。では次のニュースです。・・・」




-拝啓、お父さん、お母さん。


行ってきます。いつまでもお元気で。



ゴメンなさい。

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