-14- 浴槽
宿舎では、思い思いに文化祭部室用の装飾作品を制作している。思いの外、順調に進行している。
松田先輩が、紗良に声をかけた。
「あ、紗良ちゃん、二年のお風呂の時間だから、入って来て!」
「はーい。」
大浴場の浴槽に、紗良が一人で入っている。湯船にお湯の循環する音が響く。
紗良は、浴槽の大きさの下では、とてもちっぽけに見えた。紗良が、ふとつぶやいた。
「わたしは、あなたが好きなのです。」
思ったより、お風呂に長居してしまったな、と思いながら、紗良は脱衣所で髪を乾かした。私服で学校のみんなといるのもなんだか妙で、紗良は不思議な気持ちになっていた。お風呂から出た紗良は、部長とすれ違った。
「今、みんな、どんな感じですか。」
「各自、休憩取ってる。佐藤も自由にして。」
「はい。」
紗良は、廊下の窓から、宿舎の外に散歩している木村を見つけた。
紗良は、タオルを外して、物干し竿にかけた。
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