-6- 夕食

木村が、カメラを構えて部屋を見渡すと、綺麗な色のキャンバスがあちこちに散らばっているのが見えた。そして、その端に、濁った色をぶちまけた抽象画のキャンバスがまとまって何枚もあった。木村のスマホに、母からのLINEの通知音が鳴った。

「今日、遅くなります。夕ご飯、各自取ること。」

木村は紗良に、

「夕飯、食べない?」

と、言った。

「え?一緒に?」

うなずく木村。

「いいね!なに食べる?」

「牛丼とか、鮭弁当とか」

「振り幅すごいね!でもさ、私ご飯作るよ。一応、料理得意なつもり」

二人は、そのまま近所のスーパーへ向かった。

「何か食べたいものとかある?」

木村は、首をかしげる。

「じゃあ、餃子とかどう?」

木村は、何度もうなずく。材料を買い、二人で餃子を作った。

木村が意外に料理が上手なことに、紗良は驚いていた。

「うま。」

「焼き餃子美味しいね。水餃子も作ろう。」

満腹になった二人は、そのまま「あおい荘」の前で別れた。

「防犯、気をつけて」

「ありがとう。おやすみ。」

月が綺麗だった。

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