-2- ふたりごと

木村は、首にかけられたデジカメを構えた。

「佐藤紗良です。美術部に入ってます。趣味は、絵を描くことです!……カット! とか、言わないのか」

「もっと自然な方が、佐藤の良さが出ると思うけどな」

「そっか。えっと、了解です!あ、そろそろ、後夜祭だね。下、下りてく?」

「上から後夜祭の様子を見てる方が楽しいから」

「じゃあ、私も高みの見物しよ。一緒にいたら迷惑かな?」

木村は、首を横に振る。

「文化祭もこれで最後です。みんな、エンジョイできたかな? シメは、軽音部のライブだよ!みんなで合唱しよう!」

外で声が聞こえる。

木村はカメラを構える。

「木村くんって、人間も撮るんだね」

 木村は、優しく人差し指を口に当てて、静かにするように促した。軽音部の演奏が教室に届いている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る