-1- 始まり

全校放送が流れる。

「もうすぐ、文化祭は閉幕となります。本日は、お越しいただきありがとうございました」

美術部の教室も、後片付けが始まった。日もだいぶ暮れ、後片付けも済んだ頃、部長が、

「今年一年、お疲れ様。俺たちはもう来なくなるから、これからの主役はお前らだ。解散!」

と、言った。副部長が、

「今までの主役はお前だったのかよ。」

と、ツッコミを入れた。和気あいあいとしている中、紗良が木村に声をかけた。

「あの、木村くん…」

木村が紗良の方を見た。

「私の動画を撮ってくれないかな」

「…」

「美術部の一年って、うちら二人だけじゃん。木村くんに撮ってもらったら、美術部?青春?の記念になると思って。」

木村は、驚いたようだった。しばらく遠くを見たあと、

「…高校生の動画コンクールが毎年あるんだ。それに応募してよければ、撮りたいけど」

「じゃあ、決定!だね。早速今から撮り始めよ!」

紗良は身を乗り出した。

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