第7話 痴女に拉致される
田中太一でございます。コチラの現場では今まさに私が3人の女性に囲まれているところでござまいす。私は腕を縛られて仰向けにされた状態でござまいす。
まずココで3人の女性を紹介させていただきたいと思います。
花柄ワンピースにコンガリ焼けた肌のショートカットの女の子。仮にこの子の名前をスポ子と呼びましょう。
そして白のワンピースに縦ロールで、ちょっと化粧がケバい女の子。仮にこの子の名前をキャバ子と呼びましょう。
私の注目株である紺のワンピースに黒髪ストレートの女の子。仮にこの子の名前をアイ子と呼びましょう。
この3人に、私、田中太一は拉致されてしまったのでござまいす。
なぜ、私がこんな喋りかたをしているのかと言いますと、大興奮しているからでござまいす。
コールドスリープして目覚めたら男がいない世界でした。だから女の子達が男に飢えています。こんな私でも痴女に拉致されます。
痴女に拉致されたい、この願望は常日頃から私はずっと抱いておりました。
まさか私の願望が叶う日が来るなんて感無量でございます。
「それで、どうするの?」とスポ子が尋ねた。
「とりあえず体を触りましょう」
3人が私の体を触ることに決めたみたいです。3人の6本の手が私のお腹を触り始めた。
スポ子の手が私の顔にやって来ました。
「プニプニらぁ」とスポ子が言いました。
「柔らかいわね」とキャバ子。
「普段は何を食べているのかしら?」とアイ子。
私の餌の心配をしているご様子。もしかしたら拉致された後に監禁というご褒美も待っているのかもしれません。
3人の不慣れな手つきは、クスぐったいでございます。
私の語り部がウザいという方はバッドボタンを、私の語り部が面白いという方はいいねボタンを押してください。
語り方を元に戻す。
スポ子が俺の顔を触ったことで、『そっちにも土地があるのね遊びに行っていいかしら?』と他の4本の手が俺の顔面にやって来る。
「男性が笑ってるよ。気持ちいのかしら?」とアイ子が言った。
6本の手が俺の顔面をペタペタと触っているのだ。気持ちいいに決まってる。
でも、このシュチュエーションでニヤついちゃダメである。だから俺は必死に笑うのを我慢した。
「唇も柔らか〜い」とスポ子。
ええぞ。俺の顔面に口があるって気づくなんて、わかってるじゃねぇーか。
俺は口を開けた。スポ子の指が俺の口に入って来る。
「ヌルヌルらぁ〜」
スポ子の好感度がガンガンと上がっている。
俺の口の柔らかい部分をスポ子が指で摘んだり、引っ張ったり、こねくり回したりし始めた。
スポ子よ。俺の口に舌があるって気づいたのか。お前は大したもんだ。お前には才能がある。
キャバ子の指が俺の耳を触った。俺の顔面に耳が付いていると気づいたらしい。ええがな。
キャバ子の指が俺の耳の形をなぞって行き、そして耳の中に入って来た。
その小さいトンネルに入ろうとするなんて、キャバ子は冒険家だな。
キャバ子の好感度もガンガンと上がっていく。
一方その頃アイ子の手は……。
俺の鼻を触っていた。上に持ち上げて豚鼻にしたり、鼻を摘んで、鼻呼吸を止めたりしている。
アイ子の好感度がガンガン下がっていく。
俺の顔面に鼻が付いていることに気づくな。
「服を脱がせましょうか?」とアイ子が言った。
アイ子の下がった好感度が一気に爆上がりした。
ゴクン、と3人が生唾を飲んだ。
俺の服を脱がせて、この子達は一体何をするの?
スポ子の手がブラザーのボタンを外す。キャバ子の手が俺のネクタイを外す。アイ子の手がブラウスのボタンを外す。
「やめて」と俺は言ってみた。
初めて声を出してみた。
盛り上がるために、「やめて」と言っただけだった。
「やめてって言ってるわよ」とアイ子が言う。「やめようか? 可哀想だし」
いや、やめないで。盛り上げるつもりで言っただけやねん。←語り部が関西弁になるぐらいに動揺している。
「仕方がないね。嫌がることはできないもんね」とスポ子が言う。
拉致ったくせに、いい子なのかよ。
「私達は性行為をするんじゃないの?」とキャバ子が言う。
そうだ、そうだ。キャバ子頑張れ。
「でも、やめてって言ってるのよ。人が嫌がることはやったらダメでしょう」
「……そうね」
折れるなキャバ子。頑張れよ。俺は性行為をしたい。
「嫌なことして、ごめんね」とスポ子が言う。「でも男子が1人で歩いているのも悪いんだからね」
「そうよ。1人で歩いたら危ないわよ。襲ってください、って言っているようなもんなんだから」とアイ子が言う。
「家まで送ってあげよう」とスポ子が言う。
「途中でやめる気なんかい」
と俺は言った。
本来の俺なら初対面の女子に対して敬語を使う。女子にタメ口で喋っていい身分ではないと思っているからである。
でも未来の日本では初対面の女子に使い慣れない関西弁を喋ってもいい身分であることには気づいていた。
それに拉致するような犯罪者に気を使うことも無いのだ。
「ワシ、もうギンギンやがな。どないしてくれますねん。拉致っといて、途中でやめて家に帰すって、マジで無いわ。なんでそんなええ子達やねん」
怒っている時って謎の関西弁使ったりするよね。ワシだけかな?
「やってほしいの?」とスポ子が尋ねた。
「やってほしい」と俺が言う。
「でも、さっき「やめて」って言ってたじゃない」とアイ子が言う。
「シュチュエーションを盛り上げるために言っただけに決まってるやろう」
「性行為していいの?」
キャバ子が唇を舐めて尋ねた。
「……やめて」
と俺が言う。
「やっぱり本心はやめてほしいのよ」とアイ子が言う。
「違う。違う。やめてやめても好きのうち、って言うやん。俺からしてほしい、って言うのはちょっと違うかな、っと思って。してほしいから逆にやめて、って言ってるところあるじゃん」
「やめてはしてほしいってこと」とアイ子が呟く。
そうそう、と俺は頷く。
キャバ子が俺のブラウスのボタンを外し始めた。
よし、続きをしてくれるみたい。
スポ子が開けたブラウスから腕を突っ込んで俺の生肌に触れた。
「ズルイ」とキャバ子が言う。
「プニプニらぁ〜」とスポ子。
アイ子が仰向けになっている俺の顔を覗き込んだ。
間近でみたらドキドキするぐらいに綺麗な子。
アイ子の手が俺の鼻を持ち上げて豚鼻にする。
コイツ、それめっちゃ好きじゃん。
「それはやめて」と俺が言う。
「もっとやってほしいの?」
とアイ子が言って、俺の鼻をグイグイと持ち上げた。
やべぇーー、『やめて』がやってほしいって言語になっちまっている。
「やってほしい」と俺が言う。
「やっぱりやってほしいじゃん」とアイ子が笑う。
やべぇー、『やってほしい』もやってほしいっていう言語である。
止める言葉が無くなってしまった。
俺は口を開けて、豚鼻にしている指を噛もうと試みる。
できなかった。強い指圧で鼻をホールドしている。
「ブタさん、可愛い」
「アイ子って本当にブタが好きよね」とキャバ子が言う。
「だって可愛いんだもん」
もうアイ子はほっておこう。
後の2人に期待である。
スポ子が俺の胸に2つのボタンがあることに気づいた。赤ん坊にミルクをあげるために付けられたモノである。でも男性はミルクが出ない。だから男性にとって、そのボタンは表か裏かを認識するために付けられたものだと思っていた。
人生初めて、そのボタンに人に触れられた。胸に付いている2つのボタンが快感を感じる機能が付いていることを初めて知った。
「あぁ、あぁ」と俺は思わず、声を出してしまった。
「気持ちいいの?」とアイ子が尋ねた。
お前じゃねぇーよ、と俺は心の中でツッコんだ。
そしてキャバ子があることに気づいて、ズボンのベルトを外し始める。
ずっと求めていました。アタイ、ずっとずっと夢見てました。
ズボンのチャックがゆっくりと降ろされる。
急ブレーキがかかって、初めて車が動き続けていることに気づいた。
膝をついていた3人が倒れる。
そして『ドン』と音がした。誰かが車を叩いたみたい。
3人が硬直して、音がした方を見る。
ずっと俺が求めていたモノが途中で止められてしまった。
一体、なにがあったんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます