第9話 エピローグ

 なぜ、B君はAちゃんを殺害したのか。


 実はB君はAちゃんとの交際を親に反対されていた。

 理由はAちゃんが偏差値の低い学校に通っていることと、親が普通のサラリーマン家庭だったことだった。そういう子は、うちの息子には相応しくないと思ったからだ。


 B君はAちゃんが本当に好きだった。

 Aちゃんはすごくモテる子で、男子の友達が数えきれないほどいた。

 もし、別れたら、すぐ別の男子に取られてしまう。

 誰かに取られるくらいなら、Aちゃんがいない方がいいと思ったのだった。


 B君は最初、一緒に死ぬつもりだった。

 でも、いざとなると怖くてできなかった。

 それで、鋸山から一人で帰った。


 帰りに「お願い地蔵尊」にお地蔵様を備えた。あの世で永遠にAちゃんと一緒にいられますように・・・と願って。


 Aちゃんはずっと死にたいと言っているような子だった。それは両親も知っていた。僕は彼女を楽にしてあげたんだ・・・。だから全然後悔していないと、B君は面会に来た親に語った。


 思い出は、掘り起こさない方がいい。

 美しいままで、記憶の中に残しておくべきだったんだ。

 そしたら、Aちゃんはまだ生きていただろう。

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初恋 連喜 @toushikibu

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