第3話 思い出の彼

 初恋のB君に会えないかなぁ・・・。

 Aちゃんは中学に上がってから、改めて思うようになった。

 でも、会うすべがなかった。


 小学校時代、保育園が楽しかったとずっと思っていた。

 人生で一番楽しい時期だった。

 保育園では、いじめがなかった。


 中学に友達がたくさんいるけど、男子にもてるようになってからは、やっかみがすごかった。本当に友達なのか何なのかわからない子ばかりだった。彼氏のことも好きだけど、もし、どこかでB君に会えたら速攻でLine交換して告白しようと思っていた。


 もう、何年も会っていないけど、B君はAちゃんを覚えているだろうか?

 覚えてないんじゃないだろうか。

 俺は心配になる。


 知らない子にいきなり告白されて、彼はどう思うだろうか・・・。

 Aちゃんは、かわいいから喜ぶだろうか。


 思い出はいつも美しい。

 だから、そのまま胸に秘めておいたらいいんじゃないかという気がする。

 でも、会えるかどうかは、運命だ。もし、2人に赤い糸があれば、自然とその糸がつながって、全く縁もゆかりもない状態からでも、出会えるものかもしれない。


 Aちゃんは、お母さんにB君に会ってみたいと伝えた。

 お母さんはB君のことを覚えていたし、娘がずっとB君のことを思い続けていることも知っていた。

 でも、悪いことが起きるんじゃないかとちょっと心配だった。


 お母さんは色々悩んで、結局、Aちゃんを近所にある英語の塾に行かせることにした。そこなら、彼と同じ公立小学校に通っていた子がいるかもしれないからだ。

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