The end of the world
最果てに行こうとしていた。どこにも繋がらない場所を探して、手がほどける。夏が始まる。蛙が田んぼから跳ねて爆ぜ終わる。悲しみを表す言葉を持ち合わせていなかった。さようならを言いたくなかった。別れが必ず来ることは、誰に聞かされずとも知っていた。蛙の鳴き声に黙祷した。蝉の鳴き声に黙祷した。猫の鳴き声に微笑んだ。いつか世界が終わるその時、私は存在しないから黙祷した。
今日もソファで身体を丸めて眠る。ワンルームの外に人の営みがある。誰かが食べて眠るばかりの日々を過ごしていようとも。エナジードリンクの缶や栄養ドリンクの瓶が山積みになった部屋に住んでいようとも。機能的で整えられた埃ひとつない神経質な3LDKでも。必ず目覚める。人の生活。笑ってと簡単に求め、泣かないでと手を差し伸べる。不器用なだけの人。
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