39話 デインのモノローグ

 俺、志津デインはおかしいと思っていた。

 一つは勇者である俺が序列一位・星川きららに勝てない理由。

 戦闘能力、という点なら間違いなく俺に分があった。それなのに何度挑んでも勝てなかった。

 それについては、考えてみればすぐに分かることだった。

 彼女との間に圧倒的な差があったからだ。それは戦闘能力の差じゃなく学園の中での存在意義だ。財界と魔法省に大きな影響力を持つ両親の娘で、アイドルで、将来活躍することが分かっている金の卵を序列一位から学園が落とすわけがない。序列一位とニ位には大きなハンディがつけられていた。

 何となくそれには納得してしまった。序列一位とニ位にはそれぞれの役割があるだけ。それならそれで良いと思った。知った以上、それに抗うつもりはなかった。


 もう一つ、おかしいと思ったことがあった。

 鷺ノ宮にあの死についてだ。

 学園にとって不祥事になるような大事件なのに、誰も知らない。

 同じクラスの誰も口を割らなかったのは、何となく分かる気がする。俺ですらその疑問にたどり着かなかったのだ。

 それを知りたくなって、色んな生徒に話を聞き続ける中で、彼女と接触があったのは竜ケ崎茜だと分かった。

 しかし、その竜ケ崎茜も詳細までは語ってくれなかった。

 誰も語らないその秘密。

 鷺ノ宮にあはなぜ自殺したのか?

 その疑問を追って、たどり着いた手掛かりはアイツだった。

 轟ねねねはその秘密のすぐそばにまで迫っている。

 真実を知るのは俺じゃなくても構わない。だが、俺の予想が正しいとするなら……。

 少なくとも、俺に勝てるくらいのレベルでなければ、このことは話すことは出来ない。

 轟ねねね、強くなってくれ。この俺を倒せるくらい、強く……。

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