24話 白熱! 魔剣道バトル(1)

「うーん。今日は良い天気だー」


 学校への登校中、澄み渡った空を見上げて気持ちよさそうに伸びをするねねね。周囲を歩く生徒たちがその姿を見てクスクスと笑っていた。


(声に出ちゃってた……。寮で一人部屋になってからなんか独り言多いなぁ)


 つい漏れ出した独り言に恥入りながら、ねねねは通学路を足早に歩いた。

 昨夜は鯨波宇留美とのバトルで消耗が激しかったのか、寮に帰るとすぐにベッドに倒れこんで、そのまま寝てしまった。

 アルトや真菰からマジルで連絡があったのだが、気づくことなく朝を迎えていた。朝になって「ごめんね、マジルに気づかなかった。また学校で」とメッセージを送って部屋を出た。


(それにしても、鯨波先輩とのバトルは本当にギリギリだったなぁ……)


 練習してきたホウキの操縦、巨大化魔法、ヤリ投げ。準備していたことをフル活用して紙一重の勝利だった。

 作戦を立てて練習をしなければ、勝利はなかっただろう。


(これでランキング序列は二十五位。けど、これは私の実力じゃないってことをよく覚えておかないと)


 気を引き締めるようにそんなことを考えていると学校に着いていた。

 教室に向かう途中、廊下で宇留美が同級生に囲まれているのを見かける。


「鯨波さん、なんでちっちゃくなってるの!?」

「えっとー、実はこの姿が本当の姿なんだー。変かなー?」

「ナニソレ! 可愛すぎるんだけど!!」


 同級生に持ち上げられて熱烈にほおずりされている姿を見て、ねねねはなんだか安心した気持ちになった。

 通り過ぎようとしたねねねを見つけたらしく宇留美が手を振ってくれたので、ねねねも「おはようございます」と手を振り返して教室に向かった。


「今日はどんなことが起こるのかなー」


 ねねねは意気揚々と教室の中に入って行った。

 まずはアルトと話したいと、教室の中を探したのだが、その姿が見当たらなかった。


(まだ学校に来ていないのかな? 昨日のバトルの話をしたかったんだけどなぁ)


 予鈴のチャイムが鳴って、授業が始めるギリギリになってアルトが教室に入ってきた。

 すぐに中井先生が来て、結局ねねねはアルトと話すことは出来なかった。


 一時間目の授業が終わって早速アルトに声をかける。


「アルトちゃん」

「あ、ねねねちゃん」


 笑顔で振り向いたアルト。しかし、その顔にはなんだか疲れた様子がうかがえた。


「どうかしたの? 何か疲れてる」

「う、うん。部活の先輩に用事を頼まれちゃって……」

「そうなんだ? どうしたの?」

「うん。ねねねちゃんと一緒にランキング序列上位を目指す活動をやってるでしょ? たった二週間でこんな上位になれたのが凄いって、話を聞かせてって先輩の友達に話を聞かれてるんだ」

「え、そうなの? 私は声かけられてないけど……」

「ねねねちゃんは部活に入ってないからじゃないかな? 真菰ちゃんもそんな感じみたい」

「そうなんだ……」


 部活に入ってると上下関係もあるから色々大変だなぁ、と納得する。


「またお昼休みにいっぱい話そう? なんか新聞部の人からも記事を書くの手伝ってって言われてて、書かなきゃいけないんだ。あ、大丈夫だよ! ねねねちゃんが不利になるようなことは絶対に書かないから」


 アルトはそう言ってもらったアンケートに記入し始めた。


(なんだか本当に大変そう)


 真剣な表情で机に向かうアルトを見て、ねねねは大人しく自分の席に戻ることにした。


 午前の授業を終えて、ようやく昼休みになった。

 ねねねがアルトに声をかけようとすると、アルトは昼休みが始まってすぐにまた別の先輩に呼ばれて「ま、また後でね」と教室を出て行ってしまった。ねねねは仕方なく一人で学食に向かう。 


(今日の気分は親子丼! ぷりぷりの鶏肉と半熟の卵がハーモニーを奏でる、素晴らしい一品!)


 親子丼の乗ったトレーを受け取って、その見た目と匂いに食欲をそそられながらテーブルに向かうと真菰が珍しく先に席に着いていた。


「真菰ちゃん。昨日はお疲れ様ー」

「ねねねサン。素晴らしい勝利でしたね。僕達、魔道具研も誇らしいデスよ」

「真菰ちゃんたちの魔道具のお陰だよ。ありがとね」

「いえいえ、もぐもぐ。ねねねサンの、努力のたまものデス」


 真菰は話しながらもご飯をかきこんでいて、何やら急いでいるようだった。


「どうしたの? 何か用事?」

「えぇ。お恥ずかしい話、最近魔道具研の成果報告の仕事を怠っていまして。生徒会から催促されているのデスよ。この後は部室に行って報告書を作らないとなのデス」

「そうなんだ。大変だね」


 真菰も忙しくしているようだった。


(みんなの力で得た大金星だったから、喜びを分かち合いたかったんだけど、二人とも忙しいみたい)


 ねねねが親子丼を味わいながら食べていると、真菰は「では、今日はこれで。終わったらマジルで連絡するのデス」とあわただしく行ってしまった。


「はぁ、今日は一人でご飯かぁ」


 食堂で食べているとよく食べられなくなることはあったが、こうして誰にも邪魔されず一人で食べているとそれはそれで寂しかった。


(美味しいけど、なんだか味気ない……)


 ねねねはだしの味が染みた鶏肉をよく噛んで食べた。



 授業を終えて放課後――。

 アルトはまたも「ごめんね。新聞部の人に記事を出すように言われてて」とすぐに教室を出て行ってしまった。


「あらら。まだ忙しいんだ……」


 ねねねは仕方なく帰る支度をして教室を出ることにした。

 夏休みを過ぎた二学期に転校してきたのはタイミングが悪かった。友達グループもある程度固まってしまっていたし、部活の新人勧誘も終わってしまっていて、新たなコミュニティに入るのはハードルが高かった。


(まぁ、今勧誘してもらっても困るんだけどね。部活に入ってしがらみにとらわれると序列ランキングを上げるのに弊害になりそうだし……)


 ねねねにはこの学校にアルトと真菰しか友達がいないので、二人に用事が出来てしまうと一気に暇を持て余してしまう。

 廊下を歩きながら窓の外を見ると、ホウキでレースをしているホウキ競技部の活動が見えた。


(ホウキで空を飛ぶの、楽しいんだよねー)


 宇留美とのバトルで練習したホウキで空を飛ぶ練習はとても楽しかった。思い出すだけで、部活への憧れがムクムクと湧き出してきてしまう。そんなことを考えながら歩いていると、


「轟ねねねさん」

「はい?」


 そう後ろから声をかけられて振り向くと、背の高いどこか大人っぽい雰囲気のする黒髪をポニーテールに結んだ少女が立っていた。その手には竹刀の入った袋と剣道着が握られている。


「初めまして。私は柳生やぎゅうカルマ。魔道具剣道部の主将をしているわ」

「あ、初めまして。轟ねねねです」


 柳生カルマと名乗った少女はにっと白い歯を見せて、手を差し出してきた。明らかに上級生のカルマが差し出した手を握らないのも失礼になるかもと思い、ねねねはその手を握った。


(柳生カルマ先輩。ランキング序列八位。代々剣術を生業にしている家系の生まれで、カルマ先輩は突然変異のように魔法の才能が開花したらしい。この学校からのスカウトを聞いて両親は喜んで願書を出したそうだ。だから剣術にまつわる魔法が得意。……全部アルトちゃんからの情報だけど)


 ねねねたちは柳生カルマを次のバトル対戦相手の候補に考えていたので、彼女のことをよく知っていた。


「今一人? 少し話をしたいんだけど、時間をもらえないかな?」

「はい。構わないですけど……」


 まさかカルマの方から接触されるとは思っておらず、ねねねは警戒した。


「手紙は読んでくれた?」


 カルマは少し照れたように頬をかいてねねねを見つめる。


(手紙? あ、まさか柳生先輩も転校直後に勧誘レターをくれた?)


 ねねねは手紙の内容を思い出してみる。手紙の一つにカルマそっくりの黒髪ポニーテールのキャラクターがいた。「轟さん、君は魔導具剣道に向いている。ぜひ我が部に入部してほしい。そして入部した暁には個人的にも仲良く……」と熱く語っていた。


「はい、読みました。でも、せっかくなんですが私、友達とランキング序列一位を目指すって決めたので、部活は……」

「そう……。決意は固いみたいね。でも、序列一位をたった三人で目指すのは難しいと思うわ。だから、私たちと一緒に目指さない?」

「え?」


 あっさり諦めるかと思っていたが、カルマからの意外な提案に驚いた。


「私たち魔道具剣道部、通称・魔剣道部も序列一位は目指してるの。あ、誤解しないで、部活の勧誘じゃないわ。入部しなくても良いから、騙されたと思って今日だけ部活見学に来てくれない?」


 両手を合わせてお願い、と頭を下げるカルマ。そんな風にされるとさすがに断りずらい。


(今日はアルトちゃんも真菰ちゃんも忙しいみたいだし、敵情視察じゃないけど、柳生先輩の実力を知るためにも見学だけなら構わないよね?)

「えっと。じゃあ、見学だけなら」


 ねねねが意を決してそう伝えると、カルマはその白い歯が見えるほど大きく笑った。


「本当!? 誘ってよかった。じゃあ早速行きましょう?」


 カルマはねねねの手を掴むと、意気揚々と歩き始めた。

 剣道場は一階の、部活棟とは反対方面にあった。渡り廊下があって上履きのままいけるところにあり、大きな一階建ての日本家屋のような建物だった。


「剣道場は土足厳禁だから上履きと靴下も脱いでね」


 剣道場に入る前にカルマにそう言われて、上履きと靴下を脱いで剣道場に上がる。ひんやりした床板の温度がまだ夏が終わったばかりの素足には心地よかった。


「めぇぇんッ!!」

「やぁあっ!」


 ねねねが剣道場に上がるとすでに練習を始めている生徒がいた。面・胴・小手の防具を身に着けた剣道着姿の女生徒たちが気合の入った掛け声と共に竹刀を振っている。


「普通に剣道部なんですね」


 魔道具剣道部と聞いて派手な印象を持っていたが、今見た限りでは普通の学校の部活風景と変わりなかった。


「練習はね。でも、試合になると魔道具が真価を発揮するから見ていても面白いと思うわ。ちょっと待ってて」


 カルマが剣道場の中央に歩いて行き「集合!」と号令を出すと、剣道場で練習していた十名程の生徒たちが一斉に集まってきた。


「はいっ!!」


 集まってきた生徒たちがカルマに一礼をする。


「今日は見学者がいるわ。噂の轟ねねねさん。ちょっと実践練習を見せてあげてくれる?」

「はいっ!」

「じゃあ、加治と石井」

「「はい!」」


 名前を呼ばれた二人の防具を付けた少女が前に出てきて、お互いに正面に向き合う。四角いテープで囲われた試合場を空けるように他の部員たちは壁際に下がっていった。

 二人はお互いに一礼をすると、近づいて竹刀を向き合わせ膝を折り、じっと向かい合った。


(本格的な剣道なんだ……)


 魔道具の存在が入ることで礼儀や精神修行と言ったものはどうなるのかと考えていたが、その雰囲気は厳格そのものだった。


「始め!」


 カルマが声をかけると二人はゆっくりと立ち上がり、竹刀の先を合わせた。

 その試合はいきなり派手に竹刀を振り回すようなことはせず、お互いにゆっくり出方をうかがうようにバチ、バチッ、と竹刀を弾き合って始まった。

 ゆっくり動いていたかと思うと、加治と呼ばれた選手が竹刀の先端をくるっと回して相手の竹刀を絡めとるように弾いた。瞬間に、


「めえぇぇんッ!」


 凄まじい瞬発力で近づき、上段から竹刀を振り下ろした。

 石井と呼ばれた選手も面を打たれまいとそれを受け止める。バチッ、バチンッ! と二度三度打ちあわれる一瞬の竹刀の攻防にねねねは目を奪われてしまった。

 そして、決着がつかなかったその攻防の後には互いに距離を取り、また静かに相手の出方をうかがうように竹刀を打ち合う心理戦となった。


(静と動の組み合わせ。それが剣道なんだ……)


 ねねねがそんな感想を抱いていると、


「まだまだ。魔剣道の真骨頂はこれからよ」


 カルマはニヤリと不敵に笑ってそう告げた。

 再び二人の選手がバチ、バチッと竹刀を打ち合い、石井と呼ばれた生徒の方が徐々に近づいていく。

 ひときわ強く石井の竹刀が加治と呼ばれた生徒の竹刀を打ったかと思うと、通常ではありえないほどの速い足さばきで加治選手の後ろに回り込み「ドォォォオッ!」と気合と共に竹刀で胴を払った。しかし、それに気づいた加治が床を音がするほど強く蹴り、身長を大きく超える跳躍で石井のいる方に向き直ると、落下と同時に「メェエエエエン!!」とそのまま面を打つ。石井もそれを受け止めてそのままつばぜり合いになった。


(今、魔法を使った!?)


 ねねねが驚きのあまり口をパクパクさせていると、


「そうよ。今のは魔道具による魔法付与。強力で派手な魔法ではなく、実用性に特化させた魔法で瞬時に相手を無力化する。それが魔剣道の真骨頂よ」


 ねねねの言いたいことがカルマには全部伝わっていたようで、ねねねの聞きたいことを全てを説明してくれた。


「君に向いてると思わない? 轟ねねねさん」


 そう言ってカルマはウィンクをした。

 その大人っぽい仕草に、ねねねは思わずドキリとしてしまう。赤くなった顔を見られないように下を向いた。


(柳生先輩って、なんか剣道少女っていうより、大人っぽい女性の雰囲気だなぁ……)

「イヤァアアッ!!」


 一瞬目をそらしている間に試合は続き、奇声のような声が響いた。

 試合場に目を向けると、加治が分身の魔法を使って二人に分身していた。

 かと思えば石井は一瞬で試合場の一番端まで後退し、剣を物干しざおのように長く変化をさせて加治を二人一気になぎ払った。一人の加治はその竹刀に胴を打たれて魔力が弾けるように消える。魔法で作られた分身だったのだ。もう一人の加治はその竹刀を飛び越えて石井の頭上に迫る。


「メェェェンッ!!」


 バシンッ、と加治の竹刀が石井の頭を捉えた。


「一本!」


 カルマは持っていた右手の赤旗を上げた。すると二人の選手が再度同じ位置に戻り、竹刀を構える。そして、二本目が始まった。

 ねねねは剣道に関して素人だったが、二人が凄いことをしているのは良く分かった。


(きっと、私が同じことをしてもきっと勝負にならない……)


 カルマはこの二人以上の実力の持ち主なのだ。魔法模擬戦で戦っても苦戦は必至だ。

 そんなことを考えているうちに決着が着き、二本目も加治が一本を取り、二人は膝を折って向き合うと竹刀を納めた。お互いに一礼をすると試合場のテープの外に出て行く。


「加治、石井、ありがとう。腕を上げたわね。私はもう少しねねねさんを案内するからみんなは練習を続けてて」

「はい! ありがとございました」


 部員達が声を揃えて礼をする。そして、それぞれ練習に戻っていった。


「どうだった?」


 カルマは部員たちが練習に戻ったのを見送って、ねねねの元に戻ってきた。


「……正直、凄かったです。静と動の切替とか攻撃するときの速さとか。魔剣道、奥が深いですね」


 ねねねは思ったとおりの感想を伝えた。


「でしょう? やっぱりねねねさんは見込みがあるわ。ちょっとだけ体験とかしてみない?」

「いいんですか? 私、竹刀も防具も持ってないですよ?」

「体験用の物があるからそれを貸すわ。更衣室があるから行きましょう」


 カルマは嬉しそうにそう言うと、ねねねの手を引いて更衣室へと案内した。


(女子しかいないのに更衣室があるのはやっぱり礼節を保つ為かな?)

「ロッカーは空いているところを使って。体操着は持ってる? この剣道着は体操着の上から着ると良いわよ」


 カルマから借りた剣道着は和服のような作りなのだが、下に履くはかまは独特で色んなところにひもがついている。


「見てて。こうやって着るの」


 カルマは自ら着方をレクチャーしてくれた。

 ねねねは見よう見まねで剣道着を着てみたが、悪戦苦闘しながらなんとか様になった。

 剣道着を着て更衣室を出ると、今度は今度は面や胴といった防具を付けるよう促された。


「魔道具に障壁魔法を付与しても打たれた痛みは緩和できるんでしょうけど、これも本場の剣道に習って防具を着けて活動はしているわ。あと同じ障壁魔法を付与させた竹刀と防具を使えば、フェアに戦えるしね」


 そう話しながらカルマは防具の付け方をレクチャーしてくれる。防具一つ一つにも着け方があって初めて身に着けるのは大変だったが、付けるたびに身が引き締まっていくようだった。


「こ、これで良いですか?」


 ねねねはようやく面・胴・垂れ・小手の全ての防具を着けて立ち上がった。


「うん。バッチリよ! 最後に竹刀。はい、これを使って?」

「ありがとございます」


 同じように防具を身に付けた柳生先輩から竹刀を受け取り、構えてみる。


(何だかこれだけで剣士になった気分!)

「そうそう、いいわね! 似合ってるわ。竹刀を持つときは右手と左手の間を少し空けて、うん! テコの原理で素早く降るの! 上手い上手い!」


 カルマは教え上手で、ねねねが教えられた通りに振ると、より早く竹刀を振ることができた。


「魔剣道も礼に始まり礼に終わるのは同じ。一礼をして練習をしてみましょう? よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


 カルマと向かい合って頭を下げる。


「よし! じゃあ早速打ってきて? 大丈夫! こんな立派な防具の上に障壁魔法まで付与してあるんだから。打たれても痛くないわ」


 ねねねは恐る怖る竹刀を振ってみた。ペチ、と情けない音を立ててカルマの頭に竹刀が止まる。


「そんなのじゃハエも殺せないわよ? もっと強く、鋭く打ってみて?」


 カルマのレクチャーの元、ねねねは竹刀を振って強く鋭く打ち、逆にカルマの竹刀に打たれ、魔剣道の初歩を放課後ずっと教えてもらった。

 ねねねは久々に部活動をできるのが楽しくて、目的を忘れて汗を流した。


 魔剣道部への体験入部を終えてすっかり気分を良くしたねねねは寮に帰って、大浴場のお風呂に入った。そして、食堂で運動してお腹が減ったのかご飯を山盛り食べてしまった。

 大浴場や食堂ですれ違った同じ寮生には「凄いね、ランキング二十五位!」「頑張ってるね」と声をかけてもらったのがねねねは嬉しかった。

 寝屋に戻ってベットに転がり、生徒手帳のマジカルトークルームのページを開いてみる。

 特にメッセージはなかった。一抹の寂しさを覚えつつ、ねねねはアルトと真菰に「今日は慣れないことして疲れたから早めに休むね、おやすみ」とメッセージを出した。


(あ、なんだか体に疲労感がある。本当に寝ちゃいそうかも……)


 そう思っているうちにねねねはいつの間にか寝てしまっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る