第八話 閑話(アルシオン視点)
俺は、アルバ王国のアルシオン・フォン・アルバ国王。まだまだ建国して一年が経つ程度の若い国だが、大陸初の国とあって多くの人種が訪れている。人族だけでなく最近は獣人族が増えている。主に冒険者ギルドでよく見かける。冒険者もいれば、ギルド職員になっている者もいて活気があり楽しい。
俺自身も冒険者として息抜きすることがある。薬草採取や魔物討伐、護衛依頼はしたことがないが、人間関係や信用が重視される職業で良い経験になる。六属性魔法が扱える上、剣技も重ねて来たことで冒険者ギルドのランクは今や、Aランク。文字通り、血のにじむ訓練や討伐を繰り返して上り詰めたランクに満足していた。
人を見る目はあると自信を持って言える程の俺は、薬草採取を終えて城門に続く列へ並んだ。そんな時に彼と出会った。
「へ、陛下?!」
守衛の驚いた呟きが徐々に広がり、歓声となって戻って来たが、俺の後ろの少年はまだかまだかと待っているだけだった。列に並ぶ他の者と服装も違うし、そもそも国王に目も行かず入国を待っているだけの少年など、初めてのことで興味をそそられた。
だから、声をかけた。
「ごめんね、騒がしくしちゃって」
「大丈夫…あっ!この後時間ありますか?」
「冒険者ギルドに寄るくらいだから、大丈夫だよ」
「ありがとうございます!」
少年は嬉しそうに笑顔で感謝を述べていた。国王とわかってコネを求めているのかはわからないが、恐らく違う。入国待ちの少年は、どこかに行く為に案内を求めているのではないかと思ったからだ。そしてその予想は的中していた。冒険者ギルドに行くのだと言う。
「自己紹介が遅れたね。俺は、アルシオン。君は?」
「僕は、アースです」
「アース君の用事って冒険者ギルド?」
「はい!道案内をして欲しくて!あと、王国のことも教えて貰えたらと」
純粋さ溢れる少年が眩しい!
貴族のドロドロした陰口や隠れて行われる犯罪と比べることは出来ないが、眩し過ぎる!
「アース君の純粋な心を汚させはしない!」なんて思った俺は過保護なんだろうか。
串焼き屋でかぶりつく姿は店主と共に、ほっこりしたし、冒険者ギルド前で目を輝かせていたのは良い思い出になった。
しかしまさか、アース君がこの世界の神様だとは思わなかった。
ギルドマスターが話す言葉を聞き逃すまいと真剣に耳を傾けた。
風の大精霊様から教わったという、最後にして最高の属性で、神様だけが持つ属性…。更に、六属性と精霊魔術を持って初めて”全属性”と表記されることに辿り着けた。
「バレちった」その言葉がアース君の口から出た時、俺は今までにない程ゆっくりとそちらへ顔を向けた。さすがにおふざけが過ぎたと思ったのか、謝罪していたが…いやいや、そんなことより、アース君が神様!?創造神様!?
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