第三話 閑話(精霊王視点②)

 私は名も無き精霊王。

 今日は百年に一度の大精霊報告会。まとめ役は精霊王の私だ。長い時を生き各大精霊の元に、種族がそれぞれいる中で一年に一度と頻繁に集まる程、話題性がない為百年に一度としたこの報告会。特に食事も睡眠もする必要がない霊体であるが味覚は存在する為、報告後に精霊界の果実を食べるまでが流れとなっている。


 『さて、報告会を始めよう』


 『なぁ精霊王さんよ、闇のヤツがさっきからずーっとソワソワしてんだけど……』


 『確かにね、闇だけに黒い魔力が出てるわよ。わたくしの光でも相殺し難いのだけど…こんなこと初めてだわ』


 仕方ない、本来なら火の大精霊から光の大精霊へと回るのだが、飛ばすとするか……。


 『闇のよ、報告を頼む』


 『ククク、我が眷属たる優魔族が千年の時を経て遂に成功させたぞ!』


 『ま、まさか、本当に出来たのか?!』


 『闇のよ、ありがたい!これで、これで、森の中で炭を作ることが格段に減る!!』


 『あぁ、洞窟の中で水を得る為に大洪水を起こすことも無くなる!!』


 『冷たい水を温めることが出来るわ!!』


 光と火の大精霊以外が異常な程の喜びを見せている。確かにアレが実現可能となれば、風と土の大精霊は特に嬉しいだろう。森の中で生きる彼らにとって、火の扱いは何よりも慎重になることだ。それに、洞窟内で過ごす彼らドワーフにとっても、生命に関わる重要なこと。


 『精霊の協力を経て扱う精霊魔術とは違い、魔素を陣と言葉の法則に従わせて扱う魔法は、これまでの我らの生活を一変させる!魔法の中でも強さを求めた”優化魔法”!更に、弱さを追求した”劣化魔法”!この両方を我は提供する』


 『『『やったーーーーー!!!』』』




 この報告を境に、私達精霊も徐々に変わっていった。まだ若い精霊の方から魔法を扱う者が出てきたのだ。もちろん精霊魔術が主体だが。それに各種族の面々にはすでに劣化魔法が浸透しており、優化魔法の方は秘伝となっている。

 そういえば最近、人族の様子が把握出来ていない。まぁいつかは魔法が伝わるだろう。


 ふふふ、次の報告会までに出来ればオリジナルを作りたい。行き詰まったら、闇の大精霊や優魔族達に少しヒントを貰うことにしますか。

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