第二話 閑話(精霊王視点)

 私は創造神様のちからである神属性を取り入れ生まれた大精霊…ではなく、六属性の大精霊が一つとなった精霊の頂点、精霊王。精霊王は多種多様な精霊が住まう精霊界と、大精霊含む妖精までの霊体をまとめる長の役目がある。各大精霊はそれぞれに与えられた場所で派生種族と共に暮らすが、私は創造神様に最も近い場所で精霊と過ごしている。

 

 大精霊、上位精霊、下位精霊、妖精が世界各地に散らばり過ごすこと、早千年。闇の大精霊の元には、天陰てんいん族を筆頭に優魔族、悪魔族が集い、理性のない悪魔族から魔物が交配で数を増やした。この魔物は神界と精霊界以外の世界各地で被害を及ぼしているそうだ。


 光の大精霊の元には、天陽てんよう族を筆頭に、自然の動物と交配して獣人族や鳥人族が集っている。魔力が少ないことを補うように身体能力が高くなっている為、冒険者として過ごす者が多い。

 

 火の大精霊の元には、龍族を筆頭に、人族と婚姻して生まれた長命種の龍人族と、一部の短命種である人族が生活を共にしている。長命種と短命種では生きる時間が全く違うが、龍人族は強さと愛する心を合わせ持つ戦士故に、愛した者には一途に接する。長い年月で最愛の者を失った龍人族は多いが、人族は皆笑顔で最後を迎えていると聞く。


 水の大精霊の元には、マーメイドの人魚姫とマーマンの人魚が広い海で生活している。長距離の会話は念話を使用し、短距離の会話には音による振動…音波で意思疎通をしており、水の大精霊が住む場所は隠された楽園となっているとか。


 土の大精霊の元には、人族の子供サイズの年老いたドワーフが大勢いる。男性ドワーフは三十歳を過ぎると徐々に老化が始まり、四十歳になると老化が一時停止し五百歳まで容姿は変わることがない。対して女性ドワーフである小人族は、生まれた時こそ片手に乗る程であるが、二十歳で人族の子供サイズに成長し亡くなるまで容姿が変わることがない。

 鍛冶や建設や酒造に生きがいを感じることが多い男性ドワーフと、装飾や手芸や農業に生きがいを感じることが多い女性小人族は、長い時を楽しく過ごしている。


 風の大精霊の元には、美形のエルフが自然を愛し過ごしている。皆が美形故に美意識は特になく、長く生きる為に健康は気遣うがそれだけ。風呂に入ったり歯を磨くことは欠かさないがそれだけ。それ以上を望むよりも仲間をより大切にし、強くなることに努力を費やし、精霊樹に集い生きている。



 それぞれの元に集う種族に時に振り回されて生きる大精霊達だが、いくら時が過ぎようとも決して忘れないことがある。それが我らの主、創造神様だ。

 いつか、下界で会えることを楽しみにし、育った種族達や住居を見て欲しくて、待っているのだ。創造神様と大精霊・精霊王は決して消滅しない。それ故に、待つことが出来る。

 後、五百年で千五百年経つ。創造神様はいつ、目覚めるのだろうか。

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