第4話

 大勢で遊ぶ時、10人ほどになるそのグループは、少し前から仲間はずれが起こっていた。

 平日に週3日、習い事に通っていた私は、遊びの流行やみんなの話について行くのが精一杯で、大体いつも様子を見ていたのだが、みんなで悪口を言う相手がいつも違うのだ。

 前回はその場にいなくて、みんなが口々に悪口を言っていた子が今回はいて、また別の子のことをずっと悪く言っている。内容は、確かにそういう良くない所もあるなと納得できることで、でも、それで嫌いになるほど気になる部分ではない、という程度のことだった。

 私はいつも何も言わず、前のあの子はもうよくて、今はみんなあの子のことが嫌いなのかと、何故そんなことが起きているのか、何がきっかけで移り変わっていくのか、目の前で起こっていることは一体何なのか、必死につかもうとしていた。


 そんなある日、放課後に一人で教室に残り、日直か何かの用事を済ませていた所に、私が特に仲良くしている子がやってきた。その子は私に、みんながどこにいるか知っているかと聞いてきた。図書室で遊ぶと言われたのに誰もいないのだ、と言う。

 私はみんなが体育館にいると聞いていたので、それを伝え、もうすぐ用事が終わるから一緒に行こうと誘った。すると彼女は、「最近いつも、言われた場所にみんながいない」と悲しそうに溢したのだ。


 それを聞いて思い出した。最近聞いた悪口は全部この子のものだった。今はこの子の順番なのだと、私は悟った。そして、あろうことか、みんなが言っていた悪口を伝えたのだ。

 みんなが嫌だとあげていた点を伝え、そこを気を付ければ状況は変わるのではないか、と。

 良かれと思ってした事だった。悪口を言われている事を私が伝えたその子は、私をトイレに呼び出した三人のうちの一人ではあるのだが、その事と今回のことが関係があるとは思っていない。

 ただ、私の言葉はひどく彼女を傷付けたのではないかと、今になって思うのだ。

 私は、生来の鈍感で、お花や蝶が舞っているとしか思えない、残念な思考回路の人間で、それはきっと今でも変わっていないのだと思う。


 私から今の状況を聞かされたその子は、「今日は帰る」と言って帰って行った。体育館に行けば会えるのにと思うと同時に、私が思っているよりもずっと、状況は深刻なのではないかと感じた瞬間だった。


 その後、どれくらいの日数を経たのか、直後の出来事だったかはわからない。私は三人からトイレに呼び出され、「私たちはあんたのことが嫌いだから、もう一緒に遊ばない」と告げられた。

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