授業中だぞ。

 うぎゃあああああああ…。めっちゃタイプだ…。うわあ。初恋なんて。それも一途に思い続けているなんて…。なんて…、なんて理想的なシチュエーション…。

 男性が、恋愛で泣けるって、結構私のドツボにはまる。やばい。これはね。やばい。

「お前はなんでそんな授業中にぼーっとできるんだ」

「は?」

 邪魔された。妄想を邪魔された。

「気持ち悪い顔になってるぞ」

「邪魔すんな。お前こそ私に話しかけてねーで集中しろ」

「お前には言われたくねーよ?」

「いいから、話しかけんな」

 せっかくのさぼれる授業なのに。なんでよりによってこいつの隣なんだ。マジでついてない。

「お前どうせ俺のノート写させてとか言うんだろ?だったら俺にちょっとは感謝しろ」

「大丈夫。お前になんか見せてもらわなくたって、あんたと違って私は友達がいっぱいいるからいいの」

「ふーん?じゃあ、俺がノート見せなくても困らないんだな?」

「…」

「な?」

「うるせーうるせー」

「あとで困るのはお前だぞ」

「ちっ」

 舌打ちをするとじろっとにらまれた。まあ、でも授業聞いたふりして妄想するのは慣れている。ノートをとりながらなんて、朝飯前だからね。まあ、何もしてない時よりは全然胸キュンできないんだけど。これも全部隣のやつのせいだな。

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