最終話 白昼夢の世界
「じゃあ、改めて」
「ボクと一戦構えな!アーティノイズ!!!」
ラムネは、意気揚々とアーティノイズへ宣戦布告する。
「……わかった」
「キミがその気でいるなら。」
_____
「……終末時計、残り15分。」
_____
アーティノイズはどす黒くて紫いろな鎌を構え、ラムネはエメラルド色の杖を構える。
『ギィイイイイン!』
鎌と杖がぶつかり合う音が白黒の世界へと響く。
最終決戦の、始まりだ。
「……強くなったネ、あの魔女さんがなんかしでかしてくれたのカナ?」
「そんなの、お前には関係ないわけ!」
「ボクは、この手で……」
「大好きな世界を守りたいんだ!」
そういい、ラムネは大魔法を唱える。
「エスメラルダ・ネオジェネシス!」
白黒の世界に綺麗な光が満ちる。
しかし、アーティノイズも負けてられなかった。
「……エンディング・グレイヴ。」
_____
……
………
…………
ここは真っ白な世界。
そっか、ボク、死んだんだ。
ここは真っ黒な世界。
そうか、創世、失敗したんだ。
_____暗転。
七枷ネゴシエーターの面子は、廃図書館のボロボロの本をそっと閉じる。
その本は、悲しいくらいに焼けてしまっていた。
「……ああ、終わってしまったんですね。」
「……この本は、本棚に戻しておきますねー。」
「……終わった、全て終わったんだ……。」
七枷ネゴシエーターのリーダー、クロエは涙ぐみながらこう語った。
「ああ、この夢は……」
「誰かが、生前最期に見た、悲しい夢に過ぎなかったんですよ。」
「最初っからもみじ谷なんてなかった。」
「白昼夢だったんですよ。」
_____
七枷ネゴシエーター
もみじ谷の全てを見届けるために結成された、10人の罪人達による組織。
たった今、役目を全て果たした。
_____
「おねえしゃま……あたちサマたち、やっとやくめをおえたね……。」
「……終わっちまったな。何もかも」
「でも、これで良かったんだよ。」
「……ふぁ……役目を……果たせたね……。」
「これで何もかもすっかりおしまいですね……。」
「やっと終わったね……これで、これで良かったんだ。」
「……私でも涙が出ちゃうよ〜……やっと終わったのに……。」
「俺は……この本も宝として持って帰りたいけどよ。そうしたら良くねぇよな。」
七枷ネゴシエーターの罪人達は、涙を流しながらやっと全てを終えた。と語り合っていた。
_____
創造も破壊もされなかったもみじ谷。
色はすっかり抜けてしまい、白黒の世界になっている。
そこを歩くのは、長かった髪をバッサリ切り、やつれた表情のラムネだ。
「お疲れ様、ボク。」
そういい、ラムネは自身の墓へ花を手向けた。
_____これは、誰かの生前最期の白昼夢だったんだ。
_____これで、これで本当に良かったんだ。
ぽーちどえっぐ!
今度こそおしまい。
ぽーちどえっぐ!にはいめ ノア @noa_zarusoba
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