第11話 薄氷のアスタローシェ

 一度白旗を挙げたサニーブルー。

 しかしサニーブルーも、ジャックススペイドも、そしてラムネラジオもまだ《やる気……否、《殺る気》》であった。


 「なぁラムネラジオ。」


 「ハイハイ、言いたいことは分かるわけ。」


 そう話していた時だった。

 から、一人の魔女が降りてくる。


_____


 「よぉ。」


 「あ、あんたは。」


 そう、カフェメイガスのあいつ……だ。


 「ここはさ、俺に任せてくれないか?」

 「俺さ、この病院ぶっ潰さないといけねぇ気がすんだよ。」


 そう提案するマギに対し、ラムネとスペイドは二つ返事だった。


 「へっ、任せるぜ。カフェの魔女さんよ。」


 「ボクも賛成なわけ。一思いに殺ってほしいわけ。」


 「おう、じゃあ……」

 「サニーブルー=アッフェンバルツ!俺と闘え!」


 マギの怒号に、サニーブルーはやれやれ。という顔をしながらチャクラムを構える。


 「解りました。貴方も服従させますよ。」


_____


 パチパチパチ、と魔法と魔法がぶつかり合う音がする。

 それは皮肉な程に、花火のように綺麗で。


 でも、実際はとても血生臭くて。


_____


 「うらぁーっ!」


 「ふぅん?魔女の割に脳筋なんですね?」


 サニーブルーはヒラヒラと攻撃を交わし続ける。

 しかし、マギにはがあった。


 「しゃーねぇ……����が流れ弾喰らうのは申し訳ねぇが、ちょいこの魔法、使わせて頂くぜ。」

 「!!!」


 そうマギが叫ぶと、サニーブルーの弱点は鏡で映したように露わになる。


 「人形部隊、突撃ぃー!」


 そういい、マギは沢山の人形に命令しサニーブルーを満身創痍にさせた。


_____


 サニーブルー、敗北。

 それを理由に、サニーブルーは壊れ始めた。


 「あ……あは、あははははは。」

 「そっか……モンスター同士でも争うような世の中でこんな建前つけないんですね……。」


 「あン?建前?」


 スペイドは、サニーブルーの発言に耳を傾ける。


 「あは、あははははは。私たちアスタローシェの本来の目的は」


 「


_____


 サニーブルー=アッフェンバルツ


 15歳 大空財閥の息子


 アスタローシェ結成の理由:創世軍団の復活


_____


 「あは、あはははははは」


 サニーブルーは壊れた笑いが耐えないまま、フェリが遺したメスを腹に充てがう。


 その時。


 『ざくっ』


 「え、おい……」


 「コイツまで自害するとか、なんなわけ」


 「完全にイカレてんな……。」


_____


 「ねぇ兄ちゃん、もう、帰ろうか。」


 「そうですね。僕達は間違えていたのです。」


 「俺も、罪を償うよ。」


 「私も。」


_____


 あれから数日。

 アスタローシェは完全に崩壊してしまった。


 それもそうだ、リーダーと副リーダーが自害するような脆い組織に過ぎなかったのだから_____

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る