第9話 レゾンデートル・オブ・ホスピタル

 「お前ら!センヘルたすけてアイツら片付けるぞ!」


 ジャックススペイドの怒号に、一同は背筋を伸ばしシャキッとする。


 「了解なわけ!」


 「わかりました!僕もセンヘルさん助けます!」


_____


 「ふぁ……酔生夢死の世界……時間が過ぎてゆく……」

 「これもまた、ひとつの酔生夢死。」


_____


 「……で、どこに殴りこめばいいわけ。」


 ラムネラジオは、スペイドに問い詰める。


 「それなら心配いらないぜ。予め彼奴センヘルが拠点を読んでいたからな。」


 「私も……貪食さんの関係でお世話になってる場所なので……。」


 「ってことで」

 「行くぞお前らァ!」


_____


 目的地


 白草村の離れにある

 アスタローシェ幹部のフェリが院長を務めている、そこそこ評判の良い病院だ。


_____


 「一輪さーん」


 「……ん」


 「自分たち、そろそろヒソヒソしてる場合じゃないと思いまーす。」


 「そう……だね」


_____


 「俺についてこぉぉぉい!!!!!」


 スペイドは錨を箒がわりに、魔女のように豪速球で道を駆ける。

 神廻名、ラムネラジオ、フランギオールも持ち前の能力で追いついてゆく。


 「そこの急いでる三人さーん。」


 髪の長い少女は突如現れ、声をかける


 「あんだよ!俺たち今話してる余裕ないんだっての!」


 「自分は一車。の幹部。」

 「ミナル大学病院に行くなら」

 「にお気を付けて。それでは」


 そう言い、一車は去る。


_____


_____ミナル大学病院。


 「こんにちは〜診察け「三階に拠点があるからぶっこむぞお前ら!」


 「お客様!?」


 スペイドとセンヘルによると、アスタローシェのアジトはミナル大学病院の三階の病棟にあるらしい。

 今は急ぎだ。受付嬢なんて相手にしてられない。


_____


 「きっひひ……お兄ちゃんのためにどのパーツをえぐろうッスかねぇ……。」


 「いや……神廻名サン……スペイド……」


 「ふふ……この子の臓器、高く売れそうですね」


 「ちょっと待ったァーーー!!!!」


 間一髪の所で三階の手術室の扉はガシャン、と壊される。


 「センヘル、助けに来たぞ!」


 「大丈夫なわけ?」


 「フエラムネのラムネの方……余計な真似しやがって……あは、あはは、あはははははははは」

 「お前みたいなあたおかとは、コンビなんて組むんじゃなかった。」


 フェリは虚ろな目をし、病棟の窓に手をかける。


 「そっかぁ!オイラがお兄ちゃんになればいいんだァ!」


 そう言い、フェリは窓ガラスをバリン、と壊し飛び降りる。


_____


 フェリ・ミナル


 15歳 男の子 聖リスブロン学院卒業


 アスタローシェに加入した目的地

・死んだ兄の蘇生


_____


 「……え」


 「うそ、だろ……」


 突然死者が出た事に、一同は驚きと絶望を隠せなかった。

 しかし、アスタローシェの大ボスサニーブルーだけはケロッとしている。

 それどころか、地面に打ち付けられたフェリの死体を引き上げてこんな事を言った。


 「あは、大丈夫ですよ。」

 「生き返りますので。」


_____アスタローシェ、きな臭いねぇ。

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