第2話 靴音とカルト宗教軍団と
「それじゃあ、九時に要塞行くまでは自由にしていていいからね。」
フランギオールは、そう言い一度自由時間を設けた。
その後、ネムはいつも通りコールドアイ狩りをしに行くことに。
「龍のにーちゃん!オレ、コールドアイ狩ってくる!」
「ん〜……こいつ一人だと時間的に危なっかしいから、ボクも着いていくわけ。」
そう言い、ラムネラジオはネムの監視のために着いていくことにした。
_____
鍾乳洞が照らす暗い洞窟。
ここに来る物好きなんて、そうそう居ないだろう。
ましてや、一つ目がギョロリと光る、トカゲの色素を抜いたようなモンスターもいる訳だし。
「うおー!沢山いる!狩る狩るー!!!」
その時だった。
せまっくるしい洞窟を一人の少年の声がぶち破る。
「ちょっと待てー!」
「お前、今コールドアイ殺そうとしただろ!」
「うわぁ!こんな寒いところに寒そうな格好したにーちゃんなんだよ!?」
突如現れたのはダボッとしたズボンをサスペンダーが紡いだ、上半身裸の少年。
肌は浅黒く焼けており、如何にも体育会系って感じの少年だ。
「自己紹介が遅れたな。俺は
「モンスターと冒険者が争わない世界を作る為の組織の下っ端だ。」
「争ってねーし!俺、ただ狩ってるだけだし!」
熱はううん、と悩みながらネムを説得しようとした。
「頭かたそーなのが来たな……まぁ俺も人ん事言えねぇけど……。」
「まぁ、狩るのはやめろ。って話だぜ。」
「うー分かった……モヤモヤするけど赤いにーちゃんがそう言うなら止める……。」
_____
思えばネムも少し大人になったねぇ。
普段ならあそこで地団駄踏んで、わがまま言っていたのがあの時のネムだったのに。
_____
シャルドーネ本拠地の柱時計は午後九時を知らせようとしていた。
「なんか空回りしたけど……まぁいいや。」
「シャルドーネのブランドを広げる為にも、要塞行きますかぁ。」
「ラムネラジオさん、ありがとうございます。」
「それで今日の対戦相手なのですが……初めて聞くギルド名でして。」
「ふぅん?」
「アスタローシェという名前のギルドでして。」
「ドッペルラジオさん曰く、人間の形をしたモンスターの集いで、あまり宜しくないギルドだとか。」
「ふぅん?それならコキャッとやって終わりにすればいいんじゃない?」
「まぁ、それもそうですね。」
「では、行きますか。」
_____
石造りの遺跡がシャルドーネの一員を待つ。
「僕はフランギオール。こちらはケーキ屋シャルドーネ。対戦宜しくお願いします。」
「僕はサニーブルー。当方はアスタローシェです。よろしくお願い致します。」
その時、ネムはアスタローシェのメンバーを見て目を白黒させる。
そこには、自由時間に会った少年が居たのだから。
「んあ!?お前さっきの赤いにーちゃんじゃねぇか!」
「え?熱さん、お相手さんとお知り合いなのですか?」
「知り合いっつーか……目的を伝える為にちろっと話した程度。」
アスタローシェとシャルドーネは、なんだか不穏な空気になっていた。
それもそのはず、アスタローシェは争いを無くす集団だからである。
_____
「ん〜……僕としてはちゃんと一戦構えたいのですが……。」
「争うのはやめて、せめて談話で解決しませんか?お茶請けもありますよ。」
「そういう問題じゃ……」
フランギオールとサニーブルーは、戦うか戦わないかでモヤモヤしあっていた。
戦いたいフランギオール、戦いたくないサニーブルー。
「ねぇねぇサニ〜……お茶請け食べないんならオイラが食べちゃうっスよ?」
話に割り込んできたのは、金髪をまとめたぽってりとした少年。
その顔立ちは、中性的でまるで女の子のよう。
「あ、フェリ。」
「まぁ……いいですよ。無くなっても補充すれば問題ないので。」
「わーい!」
フェリと呼ばれた少年はお菓子を持っていきながらぽてぽてとどこかへ去っていった。
_____
「ああもう。タイムアウトしちゃったじゃないですか。」
「すみませんね。アスタローシェは争わない為の組織なので。」
フランギオールが望んでいた名誉戦は引き分けに終わり、日付は幕を閉じた。
_____アスタローシェ、何者なんだろうねぇ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます