第13話 百鬼夜號

北海道にて


「貴様ら全員、我が眷属となるがいい」


凄まじい轟音と共に、人々が一瞬にして消え去った。


仙台にて


「お前ら全員、俺の一部にしてやるよ」


人々は、肉体は朽ち果て灰となり、魂は吸収された。


東京にて


「まとめて吸収してやろうではないか」


その場にいたものは、跡形もなく崩れ落ちた。



「昨晩だけで三か所か。奴ら、本気を出してきたな。はっきり言ってヤバいぞ」

「本気を出してきた。って何かあったんですか?」


新垣と華格院がキスをして二日後、二人は恋仲となり、大人としての一線も超えたのである。

そんな二人は夕食後にニュースを見ながら喋っていた。


「昨夜23時頃、北海道、仙台、東京の三つの都市で、一瞬にして人が消えるという、事件が発生しました。

原因は分かっておらず、警察はテロとして、捜査を進めています。」

「これって、まさか」

「そういう事だ」


禳攬じょうらん 窈瀼ようじょう 縻盱罏みくろたちが、本格的に百鬼夜號の準備段階に入ったという事である。

百鬼夜號を食い止める事が目的の華格院にとっては、頭を抱える事態なのである。

かなを討伐したことにより、三大妖の行動力が下がっているとは言え、それでも強力な妖が三体ともなると、厳しいのであった。


「中々ヤバくないですか」

「最初からそう言っている。」

「それはそうですけどね?」


華格院がきっぱりと言い放った。


「修行するぞ」

「え」

「お前に死なれると困る。あの時は何とか生き返らせる事が出来たが、次もできるか分からない。あと......」

「あと?」

「単純にお前が妖力を使いこなせていない。解放しかできないのなら意味がない。『展開』と『集中』を教える。明日の朝からだ」

「またですか」

「文句があるなら、お前のあそこをちょん切るからな」

「はい。すみません」


早朝の山奥


「妖力展開!」

「できてない!」

「ぐはっ!」


あの時の修行同様ではなく、華格院はスパルタ教育に方針を変えた。

前回は、華格院が新垣を殴って無理やり体で覚えさせたが、そんなことすらヌルいと感じた華格院は、全力で新垣を殴った。


「体で覚えろ!考えるな!展開は解放とは違って体にまとう物じゃない。私の説明を聞いてひたすら反復しろ!分かったか!」

「分かりました!」


そう言って、新垣は言われた事をひたすら反復する。

でも、できないから華格院に殴られ、再度、説明を受ける。


こうして時間が過ぎていく間にも、三大妖が着々と準備をしている事は忘れてはいけない。



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