第五話 あれから初めての登校
次の日の学校。俺たちは二人揃って登校していた。
「じゃあ先輩、またお昼に会いましょう!お弁当期待しててくださいね?」
「おう」
そう、彼女が昨日の帰りにお弁当を作らせてほしいと言ってくれたので、頼んだのであった。本当は材料費なども全部渡そうとしたのだが、「先輩は美味しそうに食べてくれれば私はそれで満足ですから!それに先輩のお昼の栄養バランスが心配だったので!」と、言ってくれたのでそのお言葉に甘えることにした。
彼女の教室の前で別れて僕は自分の教室に向かった。
教室に入ると、昨日鞠と僕が付き合っているか聞いてきた女生徒が直ぐに寄ってきた。
「おはよう!鶴見くん、昨日はごめんね。なんかビックリしてつい勢いで聞いちゃったんだ」
「ん?いや全然大丈夫だよ。事実だし」
こうやって、しっかり付き合っていると公言しておけば誰かに疑われることもないだろう。
「あ!やっぱりそうなんだ。昨日なんかはぐらかせれちゃったからさー」
「それは…」
「少し恥ずかしかったとか?」
「ま、まぁそんな感じだよ」
「確かにあんなに人に囲まれて聞かれても困っちゃうよねー」
「あはは…」
本当は事態が飲み込めなかっただけなんだが。
「とりあえず昨日は本当にごめんね!もうホームルーム始まるから行くね!じゃあね!」
「お、おう。じゃあ」
そして彼女はピューと自分の席に行ってしまった。なんだか嵐のような人だったな。
「じゃあ、ホームルームを始めるぞー」
そう言いながら先生が教室に入ってきた。
仮の恋人になっても学校の生活は変わらなかった。まぁ、少しの好奇な視線は感じるが。
そんなこんなで授業はいつものように終わり、仮の恋人として初めての昼休みとなった。鞠がお昼にこちらに来ると言っていたので僕は教室で待っていた。
「せんぱーい!来ましたよ」
そう言って彼女は二つのお弁当を持って僕の席までやって来る。
「屋上で食べないのか?」
「教室じゃダメですか?」
「いや、ダメじゃないけど…」
「じゃあ教室で食べましょ?」
彼女はそのまま僕の机に弁当を二つ広げる。というかどこから取ってきたんだその椅子は。周りはそんな僕たちの様子を遠巻きで見ている。僕はこの昼休みを無事に乗り切れるのか?
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