第5話 花の街④





この街唯一の宿と案内されたそこは、花に埋もれた様な家だった。






扉を開けて、中に入ると狭いロビーの台の上に、大きな猫が寝そべって居た。



大きい猫・・・ヨロぐらい大きいかも・・・



台の上、猫の向こう側には、呼び鈴らしきモノが置かれている。そっと手を伸ばすが、



「しゃー!」



猫に威嚇される。


(どうしろと?)


しばらく、そのやりとりを繰り返していると、



「お客かい?」



奥からお婆さんが、現れた。

彼女は、疑り深そうな目でこちらを観察する。


「一泊、75ドリム、先払いだよ」



75・・・ドリム?



なんだその通貨、俺は円しか持ってないぞ。


財布から1000円札を取り出し、スッと差し出してみる。


「何処の国のお金だい、ソレ?」



どどどどうしよう、やっぱココ外国じゃん


「・・・ドリムは、そっちのそれだよ」


お婆さんが指差す自分の財布の中に見慣れないお札が入っていた。いつの間にこんなモノが・・・


それが使って良いお金なのか考える余裕無く、とりあえず、お婆さんに差し出すと、代わりに部屋の鍵が差し出される。



「・・・ちょっと待ちな!・・・それは犬かい?」


「・・・」


「ウチはペット禁止だよ」



「いえ・・・これは『ぬいぐるみ』ですよ『ぬいぐるみ』」



じっとお婆さんに見つめられるも、微動だにしないヨロ・・・



「今ほら!舌出したよ、舌!」



・・・ちぇバレたか。



その後、お婆さん自身猫を飼っているという事です、部屋を汚さないという条件で特別許可がおりた。


まぁ、そのままお婆さんに預かってもらうでも個人的には問題なかったんだが、



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