第14話

ストーカー


そのキーワードを目にして以降…

私のその男に対する警戒心は倍増した。


頭では、


違う、ありえない、まだ、単なる偶然かもしれない…そう決めつけるのには、まだまだ実験が足りない…


同じ時間、同じ電車、同じ車両…近くに座る…


この行動が、今後、何度も何度も繰り返されるなら、ひょっとしたら…そういう可能性も、ゼロではないのかもしれない…。


私はそう考え、その日以降引き続き、メモを取り続けた。


一番恐怖を感じたのは、電車を一本早いのに変えた時のこと。


たまたまいつもより早く目覚め、その分20分ほど早くホームに着いた日があった。


この時間は、いつも乗車する六時台の電車ではなく、少し早い五時台の電車に乗ることができる。


いつものエレベータでホームに降り立ち、密かに周りを見渡すと、やはり早い時間のせいか、あの男はいなかった。


それでも念には念をいれ、電車に乗る時間直前までは、あの男が仮にホームに現れたとしても、居場所を突き止められたくなかった私は、その五時台の電車が来るぎりぎりの時間まで、ホームの大きな柱の影に、姿を潜めていた。


数分後、ついに、その電車が到着した。


ドアが開き、乗客が下車した後の瞬間に、目立たないように気をつけながら、スッと乗り込む。















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