第12話

私は音楽を聴くふりをしながらも、背後に全神経を集中した。


男が席に座った後…何をしているかはわからないが、さすがにもう振り向けない…


また…この前と同じ駅…私の降車駅の一つ手前で降りるのだろうか…


この妙な男は、私が今まで気付かなかっただけで、

いつも私の近くに、ひっそりと座っていたのだろうか…


もうすぐだ…やはり、目的の駅に着く直前、男が立ち上がる…


私の横の通路を通り過ぎるとき、確実に私の方に、わざわざ向き直った。


ニヤリ…と、唇を歪ませたまま、私を見た…サングラスの奥から…確実に視線を感じた。


歩きながらも名残惜し気にドアのところでもう一度私を振り返り、やっと電車を降りた…。



もはや怖くて、そちらを見ることはできない。


ゾクゾクする…一体、あの男の目的は何なのか…


私は…家族や同僚に相談する前に…自分自身で調べてみることにした。


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