第9話

ましてや、家族に相談するのも少し気が引けた…

当初から、私の希望で早朝のあの時間帯の電車に乗車しているのだ…


それなのに、家族にそんな相談話をすれば、とりあえず電車の時間を変えたら…?と、そんな提案をされるに決まっている。


実際にそうすると、乗り継ぎなどの全てのリズムが狂うし、私の日課…毎日の必要なリセット時間ともいえる、出勤前の朝のカフェに寄る時間を確保することすら出来なくなる…。


それはともかくも大前提として…家族に余計な…おかしな心配をかけたくない…

私は真っ向から、家族に相談するのを躊躇した…。


大人なのだ…こんなことくらい自分ひとりで解決できなければ、駄目だ…


世の中には一人暮らしで頑張っている人も沢山いるのだから…。


突然、私は思い出した…朝、電車内で家族にしたライン…妙な男がいて怖いという助けを求めるようなライン…


すぐにスマホを開くと、まだ…未読のままだった…家族はなかなかそのへんがルーズなのだ…いつもは頭にくることもあるが、今回ばかりはそれで良かったと心から思った。


今、おかしな発言をして、心配をかけたくはない


…私は即座に送信取消のボタンを押した。


私はそんな風になんとか気持ちを奮い立たせて、結局のところ、職場や家族に相談をすることをせずに、翌日からも同じ電車で通勤することを決意した。


ただの、勘違いやおかしな思い込みかもしれない…。



メモを取ろう…とにかく毎日の状況を全て記録していこう…

それでもなお…男が同じ行動をしてくるなら…

その時こそ、家族や周りに相談しよう…

私はそう、心に決めた…。



まさかその後…周りに相談すらできない状況に…私自身が追い込まれるなんて、

   想像も、していなかったのだ… 








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る