第4話

男が立ち上がった… 


ドキリと心臓がなる…


席を、移動するのだろうか… 車内は相変わらず閑散としている。


…どこに座るつもりなのか…

車両を変えるのか、

それとも、次の駅で降りるのか… 


       鼓動が早くなる。


私は男の動きに気付かないふりをしながら、何気なく窓の外の景色を見る…ふりをする。


程なくして、…ざっと…荷物を置いて、男が座席に座る音…


男が…通路を挟んで、隣に…座った。


           

      なぜ…この列に…?


恐る恐る、

通路を挟んだそちらを横目で盗み見ると…


私の方に、つまり真横に首を向け…やはり、ニヤリと微笑んでいる。


ガラガラの車内で…


わざわざこの位置に移動してくる意味が、

私には全く、分からなかった…


                

               

           

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