第3話 『抵抗する幽霊さん』


 翌翌日、ぼくは、和尚さまを連れて、交差点にやって来ておりました。


 幽霊さんは、今日もまた、交差点を中心にして、行ったり来たりしております。


 『おまたせ。和尚さんに、来ていただきました。』


 幽霊さんは、いっぺんにキンチョウしました。


 『ほう。あなたでしたか。』


 『和尚さん、御存知なんですか。』


 『さよう。わが寺で葬儀を行い申し上げましたな。』


 『あたしは、知りません。』


 『さようか。たしか、葬儀中に、いなくなられましたな。気にはなったが、まあ、まま、無いとは言えませんし。』


 『あの、葬儀中に居なくなるって、なんですか?』


 唖然として、ぼくは、尋ねました。


 『なにか、強烈な、思い残すことがあり、自ら、この世に身を隠したのでありましょう。』


 『はあああ〰️〰️〰️〰️』


 幽霊さんは、うつ向いてしまいました。


 なにか、おかしな、成り行きです。


 『あなたさまは、たしか、臨時に来ておられたのでは? あの日だけだとか。』


 『ほれ、よく覚えておられます。まあ、人の世は、移ろいやすいもの。入院なさっていた、ご住職が突如亡くなられまして、あとを継ぎましたのです。』


 幽霊さんは、ますます、うつ向きになりました。


          🕯️


 あたりは、次第に暗闇が支配して行きました。


 いまや、小さなLED街頭が、輝くばかり。

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