第2話 『ぐるぐる回る幽霊さん』


 翌日も、運動をかねて、山から降りて二キロほど先の、コンビニさんに参りました。


 すると、案の定、同じ幽霊さんが、なにやら、交差点のあたりを、ぐるぐると回っております。


 『どうしましたか。』


 ちと、見かねて訊ねました。


 『ああ。よかった。優しいお兄様。』


 『いや、べつに、お兄様ではないですが。』


 『もはや、この世にあなた以外、頼れるかたもありません。はい。』


 『そう、幽霊さんから言われると、ちょっと不安です。』


 『ごめんなさい。でも、なかなか、見えるかたは少なくて。あの、じつは、あのあと、お寺さまに行こうとするのですが、とうしても、行けないのです。』


 『あた。たしかに、最近は、幽霊さん避けの、電子シールドがあちこち張られていますからね。しかたない、ぼくが、お寺さんに、往診をおねがいしてみますから、しばらく待っててください。』


 『ものすごく、期待していますから。』


 『いやあ。毎晩ここに張り込まれると、通りにくいから。』



         🏮


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る