『まいごになった幽霊さん』

やましん(テンパー)

第1話 『まいごになった幽霊さん』


 ある日の夕方、お買い物に行く途中、いつもの、ちょっと大きめのお墓付近を歩いておりました。


 『あの、もし。』


 後ろから呼びかけられました。


 見れば、とても綺麗な幽霊さんです。


 体がないせいか、だいぶん、透き通しになっております。


 『あの、迷子になりました。天国に行く道は、どちらでしょうか。』


 『え? それは、さあ、分かりません。』


 『困りました。そうだ、ここで、あなたが死んでくだされば、お迎えが来るでしょう。』


 『よくないことは、考えない方がよいです。それこそ、天国に行けなくなりますよ。』


 『え〰️〰️〰️〰️、まずいなあ。』


 『あちらにお寺さんがありますから、そちらで尋ねたら如何ですか?』


 『ああ。たしかに。それ、考えませんでした。ありがとうございます。』


 幽霊さんは、消えました。


 その日は、それだけでした。

 


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